まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa
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政治的圧力による非民主的決断

いじめ問題とともに,教師による生徒の体罰問題が大きくクローズアップされています。

皆さんもご存じの大阪市立桜宮高校におけるバスケット部主将の自殺をめぐる騒動です。

今回,橋下大阪市長の要求に応じる形で体罰問題への決着として,市立桜宮高校体育科の2013年度入試中止と体育科受験希望者に対する普通科への振り分けが決定されましたが,なんら解決になっていません。

それどころか,問題の本質から脱線して,単なる市長と市教育委員会との政治的駆け引きが展開されているだけで,体罰が慣例化している教育現場の改善に全く寄与していません。

入試を中止して教員を総入れ替えすれば問題は解決するのですか?

当然,答えは否。

こういう極端な主張は,問題の本質をとらえようとせずに手っ取り早く後始末をつけ,自らの実績とする単純思考のなせる業と言えます。

私が考えるに,体育科入試中止,教員総入れ替え(できなきゃ廃校)といった強硬な主張は,決して自殺した生徒の遺族や桜宮高校の生徒たちを慮ってのことではなく,この件を処置をめぐって体罰教師や高校側の措置に批判的な人々の矛先が自らに向かないようするための自衛的措置,つまり「逃げ」でしかありません。

結果として,この問題でいちばん不利益を被っているのは,他ならぬ桜宮高校体育科を志望する受験生や在校生です。

その彼らが,市長と教育委員会の措置に対して異論を唱えているわけですが,その声に聴く耳を持っていません。

このことからも,体罰問題に対して真摯に向き合っていないさまが見て取れます。

そして,教育評論家の尾木直樹氏が自らのブログで,桜宮高校の生徒が行った記者会見に,何者かによって仕組まれたことではないか?と異論を唱えたことで,そのことに対する批判が沸き起こってきています。
会見した女子生徒は「先生をかばうために会見したわけではない。自分たちが学校を大切に思っていることや、学校の良い部分も知ってほしかっただけ。私たち子どもは、何を言ってもだめなのかと失望した」という。

 女子生徒は「入試や部活を中止することは、亡くなった生徒を悼むこととは違うはずだ」と訴える。「体育科があるから体罰があるかのように言われているけれど、違うはず。桜宮だけの問題にしてほしくない」と考えている。
(産経ニュースwest: 2013.1.24)

尾木氏のブログでの見解は,単なる憶測によるものでしかなく,生徒の側の意見の一つとして取り上げていないことに大きな問題があります。

そのことに対する会見を行った生徒の主張は,尾木氏の主張と比べて論理的にも正しいと考えられます。
つまり,尾木氏の主張は「決めつけ」でしかありません。
尾木氏は,生徒が「決めつけ」を嫌うと知っていたはずなのに,また,「決めつけ」が思い込みによる予断であることことを知っていたはずなのに,このような主張をしていることは非常に残念なことです。

【関連情報】
「友達を失い、部活を失い、先生まで失ってしまう。本当につらい」 桜宮高在校生ら(産経ニュースwest)
「誰が仕組んだのかしら?」尾木ママのブログに女子生徒が反論(産経ニュースwest)
何か変!?(オギ☆ブロ-尾木直樹オフィシャルブログ)

今回の体罰問題の処理における問題点は,この生徒の主張に集約されていると言えます。

「入試や部活を中止することは、亡くなった生徒を悼むこととは違う」
「体育科があるから体罰があるかのように言われているけれど、違うはず」


まさしく,彼女の言う通りです。

入試や部活を中止したからと言って学校での体罰はなくなりませんし,体育科以外の学科で体罰がないかと言えば,まったくそんなことはありません。

もちろん,これは桜宮高校だけの問題ではありません。

桜宮高校の教員全員が体罰を積極的に容認していたわけでもありません。

問題の本質は,体罰を行っていた教師自身,さらに彼のような指導者を生み出した教育システムにあるはずです。

そのことを見据えることもなく,体育科の入試中止とか教員総入れ替えだとかで決着をつけようという安易な形だけの解決が,問題を先送りにするだけでなく本質から遠ざける結果となることでしょう。

何よりも,当事者である在校生や受験生の声を全く無視しているという時点で,非民主的であると言わざるを得ません。

民主的教育を標榜する日本の学校教育において,このような非民主的決断がなされているということが,体罰問題にも大きくかかわっていると考えられます。
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by mmwsp03f | 2013-01-27 10:18 | 教育