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まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa
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ツッコミどころ満載の憲法改正草案(その2)

さて、前回の続きです。

今回は具体的に自民党が「時代の要請、新たな課題に対応した」と自画自賛する日本国憲法改正草案(以下、自民党案)の内容に踏み込んでみたいと思います。

【基本資料】
自民党:日本国憲法改正草案対照表(PDFファイル)

まず一番に気づくのが、憲法前文が簡素化され、短くなっているという点。

毎年毎年、憲法前文を暗記させられている中学生にとっては大歓迎といったところですが、短くなったから良いというものでもありません。

現行憲法の前文は、「長ったらしくてくどい」ので簡素な表現にまとめましたといいたいところなんでしょうが、この簡素化された前文の自民党案は現行憲法が最も重視する基本理念を大幅にカットしたものとなっています(当たり前のことですが、前文での基本理念のカットに対応して、条文も変えられています)。

たしかに現行憲法の前文は正直「長ったらしくてくどい」、お世辞にも読みやすくわかりやすい文でもありません。
ですが、憲法全体の骨子となる基本原則(国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義・対等外交の原則)を明示した非常に重要な文章となっているのです。
自民党案では、そこいら辺の理念・基本原則がおろそかにされています。

それに自民党案は、現行憲法の前文に比べて重みがありませんね。
なぜそのような理念を憲法に盛り込むに至ったかという理由も明示されず、「長い歴史と固有の文化」だの、「自由と秩序を重んじ」だの、「美しい国土と自然環境を守り」だの、「教育や科学技術の振興」だの、「活力ある経済活動を通じて国を成長」だの、単にご立派な言葉を列挙しているだけの空文でしかありません。

まったくもって考え抜かれた文章とはいえず、言葉は悪いですが「薄っぺらな文字の羅列」というのが私の抱いた感想です。

それに対して現行憲法の前文は、不恰好でも我々国民に対して理念を訴えかける真摯さが感じられます。

長年にわたって「憲法改正」を訴えかけてきた割には、前文からして自民党案はお粗末なものと言わざるを得ませんね。
谷垣総裁は、この自民党案の「出来栄えに胸を張っている」そうですが、内容をちゃんと精読していないんだろうなと思わざるを得ませんね。

ふつう、最初に出した憲法改正草案には、どこかしら不備があるかもしれないと考えると思うのですが、そういうことは考えず自己陶酔の世界に浸っているのかもしれません。

そりゃー、危険極まりない。

実際に、各条文案に目を通していただけば判りますが、かなり危険な仕掛けが仕組まれていたりします。

そこいらのところは、また次回ということで、もう少し続きます。
by mmwsp03f | 2012-05-04 23:21 | 政治・国際事情