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まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa
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根拠のない就職常識

リクナビやリクナビNEXTは,就職・転職希望者向けの情報サイトとして利用されている方も多いと思いますが,こういう転職情報サイトというのは,同じようなテーマの特集を何度も何度も取り上げては,「転職を希望する皆さん気をつけましょう」というように,転職の慣例・常識を伝授しています。

【関連情報】
リクナビNEXT(リクルート株式会社)

何度も同じ特集を掲載するというのは,同じような間違いをしてしまって転職に失敗してしまう人が多いということを示しているわけですが,実はそれだけではありません。
就職・転職活動の慣例・常識を浸透させるという意図もあったりします。
つまり,就職の常識・慣例の啓蒙です。

これはいうなれば,採用する側の都合に就職・転職希望者を合わせようという意図で行われているものです。
実際に就職・転職サイトを利用した人であればよくお分かりだと思いますが,すべて企業サイドの目線からアドバイスされています。

まあ,採用する側の意向が就職サイトに反映されるのはある程度仕方がないことではありますが,皆一様に同じようなことをせよと言っているのにもかかわらず,企業は「個性的な人材」を求めているといわれても正直説得力がありません。

それにもかかわらず,結局は個性的ではない就職情報メディアのアドバイスにしたがう就職の常識や慣例にならうマニュアル化された就職活動を行うようになります。

何故そうなるのか?

就職・転職活動をしている皆さんにはよくお分かりだと思いますが,それが最も無難だからです。

無難だから就職の常識・慣例に倣うというのは,何も就職・転職希望者だけに限りません。
実は,採用する側もそのような考え方で採用活動を行っていたりします。
それを如実に示しているのが,判を押したように毎年繰り返されるSPIなどを利用した筆記試験。

だいたい,その人の仕事への取り組み方とか,仕事の出来の良し悪しが筆記試験でわかるわけがないのですが,たくさんの応募者を短期間でふるいにかけなければならないという手間の問題と,とりあえず多くの企業が採用しているからという日本的な馴れ合いの論理から,とりあえず筆記試験をやれば,優秀・有能な人材を絞り込めるという思い込んでいるように思えます。

最近の新卒向けの採用選考では,Webテストなるものを実施して会社説明会の段階で参加者を規制しているようです。
このWebテストは,(ネットに接続できる環境下にある)自宅で事前に選考試験を受けるというもので,1問ごとに数秒から数十秒程度の時間制限が設けられていて,制限時間内に解答できなければ強制的終了させられ,次の問題へ進むようになっているそうです。
後で解けなかった問題に戻ることも出来なければ,前の問題を見直すこともできません(自宅受験の際のカンニング対策のようです)。

Webテストを実施しているのには,採用選考にかかるコストを削減するという意図があるようですが,これから自社の利益に貢献してくれる人財を発掘するのに手間と金を削るという感覚はどうかと思うんですけどね。

試験のことはさておいて,リクナビNEXTでよく掲載されている転職成功術の特集の中には,まさに転職の常識・慣例がてんこ盛りです。

【関連情報】
6つの転職マナー違反でわかる転職に成功する人・しない人(リクナビNEXT=リクルート株式会社)

まあ,かなり転職に失敗してしまう人たちに問題ありの例が多いのですが,中にはある事例について採用担当者側の不採用理由にこんなものがありました。

修正液を使った履歴書は、やはり失礼だと思う。それが気にならない人とは価値観も合わないだろうし、その書類を受け取った時点で不採用を決めている。(54歳/男性/岡山県)

これは,他社に送った履歴書を修正液で修正して提出する「履歴書の使いまわし」に対する回答として掲載されていたもの。
普通,そんなことするヤツは落とされて当然と皆思うでしょうが,よく見てみると「履歴書の使いまわし」に対する回答とはちょっと違う。
どうやら,修正液を使った履歴書の修正一般に対する批判の模様。

そこで私はツッコミを入れてみたりするのですが,「修正液を使った履歴書は、やはり失礼だと思う」の根拠は?
なぜ「失礼」だと思うの?

例えばですよ,たった一文字間違えただけで苦労して書いた履歴書がおじゃんになるわけですよ。
内容にはまったく問題なくとも,その一字を間違ってしまっただけで,すべて書き直しになるのです。
書き見本を見ながらであっても,間違えるときは間違える。

当然,修正液だらけの履歴書など問題外ですが,ほんの1箇所間違えたので修正液使いましたというだけでこの扱い。
しかも「失礼」の理由付けがはっきりしない。

中には,パソコンでプリントアウトした履歴書は楽をしているからダメとか,他社で使ったやつのコピーなんじゃないかとか邪推している人がいたりするのですが,これもナンセンス。

仕事の上では効率性を求めているクセして,就職活動ではなぜ非効率を求めるのか理解に苦しむところです。
「他社で使ったやつのコピー」とかいう批判も,志望動機以外は全部書くこと同じなんだから手書きだろうが,プリントアウトだろうが内容はコピーしたもんだから関係ないだろうと思うわけです。

修正液を使うのが「失礼」だというのも,プリントアウトした履歴書がダメだというのも,これまでの就職慣例によって刷り込まれた根拠のない常識で,それ自体合理的な理由があるわけではありません。
つまり,古い慣例に縛られた情緒的反応とでも言うべきものであるといえます。

日本の人事・採用活動は旧態依然としているという批判は各方面から提起されているのですが,このような些細なところからも,相変わらず古い考え方に縛られていることがわかります。

Web上から履歴情報をエントリーさせておきながら,改めて履歴書や職務経歴書を提出させるという訳のわからない応募方法を実施しているところがありますが,これも旧態依然とした採用慣例の名残といえるでしょう。

妙な思い込みに支配された常識・慣例は,有能な人財発掘の障害になるだけでしかありません。
本当に必要なのは瑣末なことにこだわることでも,右へならえで同じような採用慣例を貫徹することでもありません。

しっかりと自社が必要な人財像を描き出し,必要な人財を確保するための採用方法を独自の視点から見つけ出そうとする努力が必要です
楽して応募者をふるい落とし,古い慣例にならった色眼鏡で本当に有能な人財が手に入ると考えるのは,非常に浅薄な思考であるといえるでしょう。
by mmwsp03f | 2010-09-07 10:57 | 労働問題