まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa
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いやあ、このツッコミ企画がこれほど長くなるとは思いませんでした。正直なところ…。
それだけ、自民党の憲法改正草案が超一流のできの悪さ故とご理解ください(笑。

【基本資料】
自民党:日本国憲法改正草案対照表(PDFファイル)

憲法改正においては、憲法の存立を基礎づける根本原則を損なう改正を行うことはできないというのが通説となっています(これを限界説といいます)。

ところが自民党案では、この憲法の根本原理を大きく損なう改正案が提示されています。

現行憲法では「公共の福祉」として示されていたものが、自民党案12条・13条では「公益及び公の秩序」と変えられています。
これは多くの人から批判されていますが、なぜ批判されるかというと「公共の福祉」と「公益及び公の秩序」では全く意味合いが異なるからです。

東京新聞の記事(4月27日)に記載されている通り、「個人同士の関係よりも、国全体の秩序が優先される趣旨」へと変えられています。

「公共の福祉」とは、「自分と他者の人権が衝突した際にバランスよく調整する」(東京新聞記事)人権の調整原理であり、前提として諸個人の基本的人権を尊重するという考え方をベースにしています。

自民党案の「公益及び公の秩序」は、人権を享有する諸個人を超えた存在(つまりは国家)の利益・秩序ということであり、これに従うことを要求しています。
つまり、主権者たる国民の権利を尊重する以前に「公益及び公の秩序」を尊重しろということに他ならないのです。

なお大日本帝国憲法27条には、下記のような規定があります。
第27条 日本臣民ハ其ノ所有権ヲ侵サルヽコトナシ
    2 公益ノ為必要ナル処分ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
「臣民(天皇の臣下たる民)は所有権を侵害されないよ。ただし法律で定める公益のために必要な場合を除いてね」という規定ですが、これと同じことが自民党案13条において所有権に限定されない基本的人権全般に適用されているのです。

このこと一つとっても、憲法の根本原則を大きく損なう不当な改正案ということができます。

他にも数多くのツッコミどころがありすぎて、いちいち取り上げることができません。

他の部分については別の批判者の方にお任せするとして、最後に一点だけ…。

それは、憲法改正条項に係わるところです。
自民党案100条1項
 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。
現行憲法第96条1項
 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
自民党案と現行憲法を比較してお分かりのように、憲法改正のハードルが下げられています。
つまり、自民党はこの改正案が可決されたあとも、憲法を追加改正する気満々ということです。

自民党は憲法全般に手を加えてきていますが、これをすべて通す気はないと思います。

というよりも、彼らが改正の中心にすえている安全保障・緊急事態・憲法改正関連の条項を可決の必須条件として、これを通すことに力を注いで、それ以外のところは可能であれば通すつもりだと思います。

なかには、とりあえず変えてみましたという「どうでもいいけどとりあえず改正」という感じのものも見受けられますので、ほとんど犠牲にしても本丸だけは通すつもりでしょう。

自民党サイトの保利耕輔・自民党憲法改正推進本部長のインタビュー記事を見てみても、自民党がどこを本丸と見据えているかが判ると思います。

【関連情報】
今こそ自主憲法の制定を(自民党¦Lib Dems)
保利耕輔・憲法改正推進本部長インタビュー(自民党¦Lib Dems)

それに、改正条件を緩和できれば、徐々に自分たちの思惑通りに改正を進められる可能性が高まるというものです。

それにしても、新しい時代に即しつつ憲法の根本原理を保持することが可能だと、うまいこと偽装したつもりでも、多くの人がその危険な思惑を看過してしまうお粗末な改正案です。

こんなものがすんなりと「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」による発議を経て、「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成」を得られると思っているのでしょうか?

ただでさえ、自民党の支持率は低いままですし、少なくとも「過半数の賛成」による「国民の承認」は得られそうにありませんね。
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by mmwsp03f | 2012-05-07 16:57 | 政治・国際事情
さて、自民党による憲法改正草案(以下、自民党案)に対するツッコミ企画も第3段になってしまいました。

【基本資料】
自民党:日本国憲法改正草案対照表(PDFファイル)

今回は個別の条文について見ていくわけですが、ここでは多くの人が批判しているところは別の方に任せて、ちょいと違ったところから攻めてみたいと考えております。

まずは、自民党案第1条。
現行憲法では天皇を「国民統合の象徴」としか規定していないのに対し、天皇を「日本国の元首」としているところが大きなポイントとなっています。

前々回、私はこの自民党案を「懐古趣味・復古主義的色合いが強い」と申し上げましたが、それが色濃く現れているのがこの第1条案です。

実はこれ、大日本帝国憲法4条の「天皇ハ国ノ元首ニシテ」を復活させたものなんですね。
通常、国際政治の慣例上、君主国(国民を主権者とする場合含む)では国王(天皇)が国家を代表する元首とされるのが一般的で、「元首」という文言が付け加えられたからといって主権が君主に存在することを示しているわけではありません。

それなのに何でいまさら「元首」?とか思うわけですが、自民党の諸氏は戦前に対するある種のノスタルジーをお持ちなのかもしれませんね。

ちなみに、自民党案では天皇の国事行為の範囲が拡大され、天皇家の負担増となっています(第6条5項で、「地方自治体その他の公共団体が主催する式典」への出席が義務化されています)。
その代わりなのかわかりませんが、皇室財産についての規制が憲法の条文において緩和されています。
第8条
 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与するには、法律で定める場合を除き、国会の承認を経なければならない。
現行憲法では、皇室財産については一律「国会の議決」を必要としているはずですが、実は皇室経済法2条において都度国会の議決を必要としない例外が定められています。
わざわざ自民党案で「法律で定める場合を除き」と付け加えているのは、現行憲法の規定上、この皇室経済法2条が憲法違反となる恐れがあるからでしょう。

皇室経済法2条は、これまで自衛隊の憲法解釈において自民党政権が行ってきた解釈改憲と同じ論理に基づくものですが、流石に自衛隊同様に憲法の裏づけがないのは不味いということで、今回の自民党案に盛り込んできたものと思われます。

そして、これまで何度となく議論が繰り返されてきた問題の現行憲法9条にかかわる部分については、わざわざ「第2章 安全保障」と章立てとし、その規定を3か条に増やしています。
つまりそれだけ力を入れているということの証左なわけですが、その割には条文の内容がお粗末極まりない。

一言で言ってしまえば「矛盾だらけの改正案」といったところですね。

現行憲法9条の「武力による威嚇又は武力の行使」を原則生かして「武力による威嚇及び武力の行使」としていますが、この一つを見ても自民党がいかに迂闊な政党であるかが判ろうというものです。

「又は」というのは、この場合、前後の言葉の選択的関係を示すものですが、「及び」は全くの並列的関係を示す語です。
したがって、自民党案では武力による威嚇・行使ともに否定ということになります(つまり、武力の保持の全否定)。
現行憲法よりもさらにハードル上げちゃったねってことです。

そのくせして、「自衛権の発動を妨げるものではない」とか「国防軍」規定を盛り込んでいるという体たらく。
頭悪いですね。自民党。

ついでに言うと、軍事力を持つということはそれだけで十分「武力による威嚇」になりますし、自衛権を行使するということは「武力の行使」になるんですがね。
日本語わかってんのか。自民党。

それはさておき、9条に関する自民党案で特に注意しておきたいことが2点あります。

まずは、条文中に頻繁に登場してくる「法律の定めるところにより」とか「法律が定める」という文言。

もうお気づきの方も多いと思いますが、これは大日本帝国憲法の条文によく登場する「法律(命令)ニ定メタル場合」とか「法律(命令)ノ定ムル所」と同じです(同様の表現として「法律ノ範囲内ニ於テ」というのもあります)。
実は、この文言は「臣民ノ権利義務」に関する規定の中で頻繁に登場する文言なのですが、それが9条関連の条文案の中に頻繁に登場してきます。

これは、何を意味するのか?
単純に考えれば軍を法律の統制下に置くということになるのでしょうが、実は事はそう単純ではありません。

これは、立法によって憲法の拘束を受けることが無いようにするための措置なのです。
つまり、国会で安全保障に関する法律が通ってしまったら、憲法はそれを止めることができないということです。

9条の2、2項では国防軍は「国会の承認その他の統制に服する」とありますが、それはあくまで「法律の定めるところにより」であって、国防軍の行動の自由を大幅に認めた法律が定められれば、逆に国会が法律の足かせによって国防軍を統制できなくなります。

したがって自民党案の「法律の定めるところにより」は、国防軍を統制するよりも法律を根拠として軍に対する統制を緩和することを目指したものであると考えられるのです。

そしてもうひとつは、自衛隊の国防軍改組によって徴兵制導入を企図していると見られる点。
第9条の2 4項
前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める
第9条の3
国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
上記の自民党案にある条文のうち、下線部分は要注目です。

憲法の条文に国防軍の組織についての基本的な定義も無く、「法律で定める」として逃げているところが、解釈改憲を繰り返してきた自民党らしいところです。

憲法案で徴兵制を明文化してしまえば、国民の反発必至で憲法案が潰れかねないと思ったのでしょう。
だから、こういう姑息な方法を取ってきているわけです。

この憲法改正草案が通った暁には、「国民と協力して」主権と独立を守るための国防軍を組織するための徴兵制導入を図ろうという意図が見え見えです。
まったくもって潔くありません。

これだけ見ただけでも、危険な改正草案であることが判ると思います。

この後の条文にも危険がいっぱいなトラップが仕掛けられています。

ということで、この自民党案に対するツッコミ企画はまだ続きます。
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by mmwsp03f | 2012-05-06 11:24 | 政治・国際事情
さて、前回の続きです。

今回は具体的に自民党が「時代の要請、新たな課題に対応した」と自画自賛する日本国憲法改正草案(以下、自民党案)の内容に踏み込んでみたいと思います。

【基本資料】
自民党:日本国憲法改正草案対照表(PDFファイル)

まず一番に気づくのが、憲法前文が簡素化され、短くなっているという点。

毎年毎年、憲法前文を暗記させられている中学生にとっては大歓迎といったところですが、短くなったから良いというものでもありません。

現行憲法の前文は、「長ったらしくてくどい」ので簡素な表現にまとめましたといいたいところなんでしょうが、この簡素化された前文の自民党案は現行憲法が最も重視する基本理念を大幅にカットしたものとなっています(当たり前のことですが、前文での基本理念のカットに対応して、条文も変えられています)。

たしかに現行憲法の前文は正直「長ったらしくてくどい」、お世辞にも読みやすくわかりやすい文でもありません。
ですが、憲法全体の骨子となる基本原則(国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義・対等外交の原則)を明示した非常に重要な文章となっているのです。
自民党案では、そこいら辺の理念・基本原則がおろそかにされています。

それに自民党案は、現行憲法の前文に比べて重みがありませんね。
なぜそのような理念を憲法に盛り込むに至ったかという理由も明示されず、「長い歴史と固有の文化」だの、「自由と秩序を重んじ」だの、「美しい国土と自然環境を守り」だの、「教育や科学技術の振興」だの、「活力ある経済活動を通じて国を成長」だの、単にご立派な言葉を列挙しているだけの空文でしかありません。

まったくもって考え抜かれた文章とはいえず、言葉は悪いですが「薄っぺらな文字の羅列」というのが私の抱いた感想です。

それに対して現行憲法の前文は、不恰好でも我々国民に対して理念を訴えかける真摯さが感じられます。

長年にわたって「憲法改正」を訴えかけてきた割には、前文からして自民党案はお粗末なものと言わざるを得ませんね。
谷垣総裁は、この自民党案の「出来栄えに胸を張っている」そうですが、内容をちゃんと精読していないんだろうなと思わざるを得ませんね。

ふつう、最初に出した憲法改正草案には、どこかしら不備があるかもしれないと考えると思うのですが、そういうことは考えず自己陶酔の世界に浸っているのかもしれません。

そりゃー、危険極まりない。

実際に、各条文案に目を通していただけば判りますが、かなり危険な仕掛けが仕組まれていたりします。

そこいらのところは、また次回ということで、もう少し続きます。
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by mmwsp03f | 2012-05-04 23:21 | 政治・国際事情
日本国憲法施行65周年に当たる5月3日に先駆けて、自民党ならびにみんなの党、たちあがれ日本などの旧自民党系の議員が多数を占める保守系政党が、相次いで改正憲法草案を公表しました。

このうち、条文として内容を明示しているのは自民党だけで、みんなの党やたちあがれ日本の改正憲法草案は未だ構想段階で、具体的な形は出来上がっていないようです。

自民党は、結党以来憲法改正を綱領(政党の基本方針・目標などを明示したもの)に掲げ、前世紀より党内において憲法改正のための研究会を組織して討議してきた模様です。
言ってみれば、自民党は筋金入りの改憲推進政党ということができます(そこが他の保守系政党とは違うところでしょう)。

自民党は年季が入っている分、他と差別化するためにも単なる構想としてではなく条文として草案を明示していますが、問題の草案の内容についてはどうでしょうか?

下記のリンクの中に自民党のWebページがありますので、そこからPDFファイルを開くと憲法改正草案が現行憲法の条文と併記して載せてありますので、そちらをごらんいただければ内容を確認することができます。

【関連情報】
「憲法改正草案」を発表(自民党 Lib Dems)
自民 憲法改正案を発表(NHK NEWSWEB)
自衛隊は「国防軍」 自民が新改憲案 天皇 日本の元首(東京新聞 TOKYO Web)
福島党首 自民憲法改正案批判(NHK NEWSWEB)
憲法改正の基本的考え方を発表(みんなの党)
4月25日・たちあがれ日本 「自主憲法大綱案」発表記者会見(YouTube たちあがれ日本チャンネル)
各党の憲法改正案 自民、みんな、たちあがれ 改正案を比較すると…(産経ニュース)

さて、皆さんはこの憲法改正草案ご覧になって、どのように思われたでしょうか?

みんなの党やたちあがれ日本は草案が具体化されていない分、それほどではありませんが、自民党はその内容に関してかなりの批判が寄せられています。

その批判は、主に天皇を国家元首と明記、国民が尊重すべきものとして日章旗を国旗とし君が代を国歌と明示、憲法9条がらみの安全保障問題(自衛隊の国防軍改組)、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」として再規定といった点に集中しているようです。

上記のリンクにある東京新聞のWebサイトの記事によれば「人権より秩序優先の改憲案となった」とあり、保守色の強い内容になっているとされています。

当然のことながら、社民党と共産党はこのような自民党の改正草案に噛み付いています。

私の場合は噛み付きはしませんが、そもそもの理念の段階で自民党の改正草案は評価に値しないものであると考えています。
ついでに言うと、保守色が強いというよりも懐古趣味・復古主義的色合いが強いといったほうが正しいような気もしますね。

それではどこが評価に値しないかというと、上記のリンクにも載せている自民党のWebページに記載されている内容をごらんいただきたいのですが、そこには下記のようなことが書かれてあります。
抜き書きした部分が、主に私が批判するポイントになります。
占領体制から脱却し、日本を主権国家にふさわしい国にするため…
未だに彼らは、日本は連合軍の占領下にあり、自主的な憲法を制定しないと実質的な主権国家に成り得ないと考えているようです。
まあ、自分は保守だといっている人は、現行憲法は強制されたもので真に自立するには自主的な憲法を作るべきなんて言っているんで、こういうズレた主張をするのは当然なのかもしれませんが。
主要国を見ても、…憲法改正を行っています。しかし、日本は戦後一度として改正していません。
他国が何回改正しているかなんていうのは正直どうでもいいんですよ。
日本の政治家や官僚は、自分たちの政策の有効性や正当性の根拠として他国との比較というのをよくやります。
他の国がやっているのに日本でやっていないのはおかしいとか、他国で有効性が実証されているから日本でもやるべきだとか言ったりするわけですが、日本独自の自主憲法制定するのに、何であんたらは他国のことばかり引き合いに出すの?とか、ひねくれた私は考えたりするわけです。
日本国民自らの手で作った真の自主憲法となります。
正しくは、「自民党が自らの手で作った憲法草案が国民投票で承認されれば、国民に承認された自主憲法になりうる」です。
「真」の意味を履き違えんでほしいですね。
「国民自らの手で作られた真の自主憲法」は、国民の直接参加によって創られた憲法草案を国民自身が承認した場合のみです(まあ、実現不可能ですが)。

具体的な条文の内容についてなのですが、ここではすべてを網羅的に扱うことは無理なので、とりあえず部分的に気になるところをピックアップして見ていきたいと思います。

とりあえず、本日はこれまで。

次回に続く…
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by mmwsp03f | 2012-05-03 21:47 | 政治・国際事情