まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa
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お久しぶりです。
2ヶ月ほどの期間を開けてのブログ更新となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
前回は御殿場小旅行のお話をしましたが、今回はガラリと変わって著作権保護期間の延長について思うところを述べてみたいと思います。

今度の参院選は、主に憲法改正問題とアベノミクスが争点となっているようですが、その陰に隠れて見過ごされているのが著作権保護政策に関する内容。

あまり話題に上らないけど知財立国を標榜する日本にとっては案外大切な問題です。

先日、政府が著作権保護期間を現行の「死後50年」(著作権法51条2項)から「死後70年」に延長する旨の著作権法改正の方針を明らかにしたそうです。

■著作権保護、70年に延長 日米TPP事前協議

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を前に、日本が著作権の保護期間を権利者の死後50年から70年に延長する方針を決めたことが明らかになった。4月に開いた日米事前協議で、日本が米国に歩み寄り、著作権を含む知的財産分野の交渉方針を米国と統合する案を示した。知財分野は新興国と先進国の利害が一致せず、交渉が遅れている。日本は米国と連携を強化し、7月23日から参加する交渉の主導権を握る狙いだ。

政府の内部資料には知財分野を含む7項目の交渉方針案を記載。日米事前協議の前に日本政府の考え方を示した。TPP交渉を前に日米の連携策を確認する内容だ。

著作権は「保護期間を少なくとも権利者の死後70年間とする」と明記した。日本では小説、コミック、音楽など著作権の保護期間を死後50年、映画は公表後70年と著作権法で定めている。保護期間を延ばすには著作権法の改正が必要だ。

米国は海外での著作権収入を増やすため、保護期間の延長をTPP交渉で各国に働きかけている。ディズニーの「ミッキーマウス」の使用料などで米国が国外から得る収入は年間約10兆円。保護期間を延ばすほど知財の収益拡大につながる。

日本はアニメやゲームなどの輸出に力を入れている。作品がまだ新しく、著作権使用料収入は年1300億円程度。著作権の保護期間を延ばせばすぐには効果は出ないが、将来の収入増を見込める。一方、誰でも自由に作品を利用できる日が遠のき、古いドラマや音楽を安く楽しめなくなる恐れもある。2009年に文化審議会で検討したが、賛否両論があったため、まだ結論は出ていない。

著作権の保護期間は世界では死後70年が主流だ。すでに米国や欧州連合(EU)は70年に延長済み。TPPの交渉参加11カ国のうち、保護期間を死後50年にしているのはベトナム、マレーシアなど5カ国。日本はTPP交渉をきっかけに国内の制度を改正するとともに、米国と協力してTPP域内に先進国型の知財ルールを導入する方針だ。

海賊版など著作権侵害への対応も強化する。今は著作権侵害を立件するには権利者の告訴が必要だが、「権利者の告訴が無くても検察の判断で起訴できる制度を導入する用意がある」とした。

新制度を導入すれば著作権者の売り上げを守り、コンテンツ産業の底上げにつながる可能性がある。海外の海賊版対策も強化できる。半面、2次創作やパロディー作品が取り締まりの対象になりかねず、創作活動の妨げになるとの指摘もある。

民事訴訟で具体的な損害額が立証できなくても、法定額の範囲で損害賠償請求を認める新制度の適用も可能とした。海賊版は特に海外での被害実態をつかみにくい。知財保護が不十分な国での違法行為をけん制する。

日本経済新聞(2013/7/9 2:06)

今回の著作権法の改正の方針は、単なる保護期間延長だけではなく、法律によって損害賠償額をあらかじめ定める等の海賊版規制の強化を主眼とする、かなり広範な改正を予定しているようですね。

さて、ここで注意を要するのが「著作権」の概念です。

「著作権」というと「著作者が創作した作品に対して自らが持っている権利」ぐらいに漠然と考えている人が多いようですが、法律上の定義はかなり違っています。

一般に「著作権」と呼ばれているものは、著作権法では著作者人格権と著作権というものに分類されています(著作権法17条1項)。分類されているということは、この2つは権利として性質が異なっていることを意味しています。

つまり、著作者人格権は著作者と不可分の権利であるのに対して、著作権は著作者以外の人にも譲渡・移転が可能な財産権なのです。

したがって、著作者=著作権者であるとは限らないというところが注意を要するところです(このことを理解していないと恐らく上の日経の記事を読んでもよく解らないんじゃないかと思います)。

もし、著作者=著作権者として固定されていたら、著作者が死んだ後にも著作権が保護されるっていうのはおかしな話ですよね。

さて、日経の記事をみてみると著作権保護期間を欧米並みに著作者の死後50年から70年に延長する旨の法改正を行う方針であることが記されていますが、これはいかがなものかと私は思うのです。

なぜかというと、著作物等の知的財産は人類の共有財産であり、本来は皆が平等に享有することができるものとされているからです。

ちなみに商標権は「商標の使用をする者の業務上の信用の維持」(商標法1条)を目的としているので、「共有財産」としての性格をもっていないので除外されます。

そもそも著作物を独占的に管理する権利である著作権は、それを生み出した人(団体)に対するインセンティブ(報酬)として認められているもので、必要以上に権利を延長するというのは、知的財産を人類の共有財産とする思想に反するものと考えられます。

だいたいインセンティブを受けるべき著作者が死んだ後、半世紀にもわたって権利を保護すること自体、「長すぎだろう」とツッコミを入れたくなるところなのに、さらに+20年保護期間を延長するというのはどうなんでしょうか?

果たして、著作者の没後、孫どころか曾孫の代にまで著作権を保護する必要性があるのでしょうか?

特許権は特許庁に登録後20年しか保護されないのに、著作権の保護期間は異常なほど長すぎると言わざるを得ません。

結局は、著作権の移転・譲渡を受けた特定企業や著作権管理団体の権益を保護するために、本来の趣旨をゆがめているとしか思えないのです。
これらの企業・団体は、著作者が生み出した著作物を世に広めるための貢献に対するインセンティブを得る権利はあるでしょうが、著作者が得るインセンティブを大幅に上回る権益を与える必要はないはずです。

必要以上の権益保持は、多くの人々の知的財産利用に大きな障害となるばかりだと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
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by mmwsp03f | 2013-07-17 23:11 | 社会問題一般