まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa

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昨日のブログでは,根拠薄弱というよりは関係性希薄な事実を並べて自己の主張を補強しようという,はなはだ論理的ではない論旨をもってセンセーショナルな言説を振り回す例をご紹介しましたが,今回はそれとは真逆の例を取り上げたいと思います。

疑似科学・オカルト批判で有名な大槻義彦早稲田大学名誉教授が,アグネス・チャンが経営する健康食品・開運グッズなどを販売する会社の商品の効能等について疑わしい点を指摘して,「はっきりとした霊感商法である」と断じるブログ記事を公表して話題になっています。

【関連情報】
【アグネス チャン の霊感商法】(大槻義彦のページ:8月29日)
【アグネス チャン その後】(大槻義彦のページ:8月29日)
【アグネス チャンの霊感商法、余話】(大槻義彦のページ:8月29日)
【アグネス チャンの謎】(大槻義彦のページ:8月30日)
アグネスの言い訳に大槻教授激怒!「霊感商品を買った人にどう謝罪するのか?」(ネットコラム - エキサイトニュース)

かなり辛辣なアグネス批判が展開されていますが,大槻氏の指摘は明確な根拠を示した論理的なもので,この批判に対してアグネス・チャン氏は,自らの公式ブログにて謝罪と購入者には返品・返金を実施する旨を下記のように公表しています(ただし,8月31日10:00時点での修正された内容)。
楽天のショッピングサイト「チャンズ」で販売していたクリスタルのブレスレットと五色霊芝に関して、お騒がせしている事を心からおわび申し上げます。「チャンズ」を運営・管理している事務所のミスであり、私にも不本意な事です。
商品を購入されたお客様はクリスタルのブレスレット5名、五色霊芝3名でした。皆様にはおわびの手紙と共に返品、返金のご案内を送らせて頂きました。

ファンの皆さん、仕事関係者はじめ、皆さまにご心配をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
これからも皆さんに信頼され、愛される仕事と活動が出来るように私も、スタッフ一同と共に気を引き締めて、気をつけて参りたいと思います。

【関連情報】
アグネスちゃんこ鍋(アグネス・チャン オフィシャルブログ)
アグネス・チャン“霊感商法騒動”、ブログで全面謝罪(Yahoo!ニュース:8月31日)

大槻氏の批判がかなり大きな反響を呼んだからということもあるでしょうが,下手な言い訳で自己弁護をせずに謝罪をしているところは,賢明であると言えるでしょう。

しかし,その後の対応の仕方も大槻氏からツッコミを入れられて,謝罪文の訂正をしているようです。

そこいら辺の展開については,上記のブログ記事やWebニュースをご覧いただくとして,実は今回私が感心したのは別のところ。

大槻氏は,アグネス・チャン氏が様々な権力を利用して自己保身を図っていると主張するブログの読者からのメールに対して,下記のように答えています。
彼女の背景に『中国共産党、創価学会、大手マスコミ』がある、とのご指摘ですが、この意味は明瞭ではありません。彼女はキリスト教信者である、と自分を紹介している(私への私信)のですが、そうだとすると中国共産党や創価学会と密接な関係にあるとは思えません。

私は、科学者・教育者として、世にはびこる迷信・オカルト・不正義などを批判・排除していき、子供の教育や社会の進歩を目指す活動をしてきました。しかし、それ以外の個人的な思想・信条・哲学を槍玉にあげたことはありません。
アグネス チャンがどのような社会活動・宗教活動をしようと、それは個人の人格にも関したことですから、批判は控えます。

非常に科学的視点に立った論理的な回答だと思います。
根拠薄弱な論を持って批判する相手を貶めることなく,はっきりと論点を明示して妥当な指摘とは思われない筋違いな主張を退けているところは,大槻氏らしいといえるのではないでしょうか。

さらに,大槻氏のブログ記事【アグネス チャンの謎】の最後に,
なお、私どもの批判に対して、様々な意見がWEB上を飛び交っている。それだけ反響が大きかったと言えるのだが、その中で見逃せない文章が多数見られる。それは、アグネス批判をするあまり、民族差別・女性差別的な言葉である。
この成熟した社会だからこそ、この種の霊感商法批判も自由にできるのだが、それを逆用して差別的言動をするのは許せない。

と書かれてあります。

ネット社会は成熟してきているといわれますが,それを利用する人間はまだまだ未熟です。
このような特定の対象を批判する言説が登場すると,その本来の論点から逸脱して批判する相手を貶めようとする人々が現れるところが,ネット社会の現状を物語っています。

大槻氏が批判しているのはアグネス・チャン氏の行為であって,彼女の人格や信条を否定しているわけではありません。
また,彼女の属性である民族・性別などをとりあげて,「だから中国人は・・・」とか「だから女は・・・」とか一般化して語ることも大槻氏の批判するところです。

人間の精神・思考というものは,技術の進歩に伴って即発達するものではなく,技術の進歩との間にはタイムラグが生じるものですが,しかし差別意識・根拠薄弱な言説というものはいつの時代にも存在することからも,やがて後追いで改善されるものではありません。

やはり,科学的思考力・論理性というものは自助努力によって改善を図っていく他はないというのが正直なところ。
その際に参考になるのが,大槻氏の主張であろうと思います。

ただし,だからといって大槻氏の主張を鵜呑みにする必要はありません。
鵜呑みにすること。
それが科学的思考力・論理性を阻む原因なのですから・・・。

当然,大槻氏の主張も批判的に検討されるべきで,ご本人もそれを望んでおられることと思います。

論理的に考えることは,非常に面倒くさいものです。
しかしそれを放棄したとき,そのツケは自分にめぐってくるのだということを我々は絶えず意識することが必要なのです。
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by mmwsp03f | 2010-08-31 12:41 | 社会問題一般
エキサイトのコラム記事の一覧に少々センセーショナリズムな傾向が見られる記事名があったので,ちょっとのぞいてみました。
そのセンセーショナルな名称の記事というのが,下記にリンクを貼った記事です。

【コンテンツ配信元】
禁煙ファシズムを加速させるマスコミとJRは人殺し!?(前編)(日刊サイゾー)
禁煙ファシズムを加速させるマスコミとJRは人殺し!?(後編)(社会総合 - エキサイトニュース)

エキサイトの方には後編だけが掲載されていて,前編は配信元の日刊サイゾーというゴシップ関連がメインのWebマガジンに掲載されています(有料会員向けのコンテンツのようで,無料の場合は前編の触りのところしか見ることができないようです)。

さて,この「禁煙ファシズム」論ですが,一方的に喫煙を悪と断定して排除し,愛煙家の主張を封殺しようとする傾向のことを批判する主張で,この記事でインタヴューに応えている小谷野敦という人物がその急先鋒のようです。

記事の全文を見ているわけではないので,この小谷野氏の主張の細部まで検討することは出来ないのですが,いちおうエキサイトに掲載されている(後編)だけを読んでみると,彼の主張はかなり愛煙家にとってご都合主義の主張が見られます。
それに,自分たちに反対の立場を「禁煙ファシズム」とレッテルを貼っていることもよろしくないですね(こういうのを「ラベリング」といいます。)

例えば,
喫煙者には個人主義者が多いですからね。しかし実際は、良識ある文系知識人で、禁煙ファシズムを容認している人なんかあまりいない。養老孟司さんも雑誌の対談で禁煙運動を批判して(「文藝春秋」07年10月号)、日本禁煙学会から猛抗議を受けましたよね。結局、頭のよくない暇人や潔癖性の女性たちが「この世の中をキレイにしよう」とヒステリックに騒いでいるだけ。結果、働き盛りの40~50代の喫煙者たちが追いつめられてしまっているんです。

というような主張をされていますが,一方的に愛煙家の立場でものを語り,自分たちに批判的な人々を,さも劣っているかのような調子で批判しているところは論理的な主張とはいえません。

>喫煙者には個人主義者が多いですからね。しかし実際は、良識ある文系知識人

私が知る限りでは,他人の迷惑を顧みずに路上喫煙をするエゴイストを個人主義者とは言いません。
しかも「良識ある文系知識人」といっていますが,技術系の仕事に従事する理系の人でもかなり喫煙者がおりますが,彼らは眼中にないのでしょうか?

喫煙者の中には,非喫煙者に配慮をした良識ある人がいることを知っていますが,しかし喫煙者の中には,食事の際に食べている人の隣で無神経にタバコの煙を撒き散らしたり,路上にタバコの吸殻を投げ捨てて散らかしたりする人をかなりたくさん見てきているのですが,そのような喫煙者を「良識ある」と一般化しているところも,都合の悪い事実を無視した独りよがりの主張でしかありません。

>結局、頭のよくない暇人や潔癖性の女性たちが「この世の中をキレイにしよう」とヒステリックに騒いでいるだけ。

これも,先の「良識ある文系知識人」と同じく一方的な印象に基づく根拠のない主張です。
しかも「頭のよくない」と言っていることからも,禁煙運動を推進している人たちは明らかに自分より劣位にあると考えていることがわかります。

つまり,小谷野氏の言い分は「自分が正しい」ことが前提の主張であって,彼に批判的な人たちの立場や考え方について考察するということがありません。

なぜ,禁煙運動がこれほどの広がりを見せ,喫煙者が肩身の狭い思いをすることになったのか。
非喫煙者に配慮をしない振る舞い,火事になりかねない吸殻のポイ捨て,路上喫煙によって火傷の脅威に晒される幼児の存在など,理由は多々あります。
喫煙者のこれまでの行いの数々が,今ある禁煙運動が過熱した原因であることをもっと自覚すべきです。

小谷野氏のような無自覚な喫煙者が,マナー違反以上の危険な行為を繰り返してきた結果,「良識ある」喫煙者まで悪者扱いされることになっているのです。

養老孟司氏が指摘しているという「禁煙ファシズムは、何かを隠蔽するためのスケープゴートに違いない」との論調も,単なる被害者意識が高じたものとしか映りません。

この養老氏の指摘について,
同感ですね。具体的には、自動車の排気ガス、携帯電話の電磁波など、
資本制の根幹を支え、なおかつ体に悪影響を与えそうなものから目をそらすために、タバコがやり玉に挙げられているように思います。

と妙なことをいっていますが,現実には排ガス規制が行われていますし,携帯電話の電磁波が問題としてクローズアップされたことは何度もありますので,まったく的外れなことをいっているだけで,結局は,根拠のない主張を繰り返すばかりです。

この方は東大を卒業して博士号を取得しているそうですが,その割にはお粗末な言説を繰り返しています。
必ずしも高学歴で大学での研究・教育実績があるからといって,その主張が納得できるものであるとは限らないということの典型です。
小谷野氏は,自らの学歴・経験が,自らの主張が高い見識に基づいていることの確証になるという,学者・研究者が陥りがちな罠にはまってしまっているのでしょうか?

私は別に喫煙することが悪いとは思いません。ちゃんと非喫煙者に配慮してマナーを守っていただければ。

喫煙することによってその人の人格を否定するような論議には反対ですが,だからといって自分たちの主張に反対するものをバカ呼ばわりしたり悪者扱いして,根拠のない言説を盾に「禁煙ファシズム」の抬頭などということを声高に主張するのはお門違いだと思っています。

最後に
そういえば最近、禁煙ソープランドというものがあるみたいですけど、ソープでノースキンで遊ぶことのほうが、受動喫煙より怖いんじゃないですか? というか、それってそもそも違法じゃないですか? と突っ込まずにはいられませんよ(笑)。

というようなことをおっしゃっていますが,禁煙ソープランドと「ソープでノースキンで遊ぶこと」とはまったく関連性がありません。

終始このような論調なので,相手をするほうは大変です。

最後に念のため申し上げておくと,今回の記事は禁煙推進派を擁護するものではなく,論理的とはいえない主張を持って自説を振り回すことは止めるべきというのが本題ですから,その点は誤解なきよう。
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by mmwsp03f | 2010-08-30 10:47 | 社会問題一般

政権崩壊のシナリオ

世間的に評価が低い小沢一郎氏が民主党代表選に出馬することが報道されて,かなり話題になっています。

小沢出馬で民主党分裂確定という見方が大勢を占めておりますが,おそらく小沢氏はそこのところは充分認識されていると思います。
それなのにもかかわらず,なぜ代表選出馬を決意したのでしょうか?

民主党内には少なからず小沢支持派の勢力があり,彼らが小沢氏擁立を強くプッシュしたためということもあるでしょうが,やはり本人にその気がなければ出馬をするわけがありません。

マスコミ報道では,菅首相の政権における小沢氏の影響力抑制が小沢氏の不興を買ったということが取り上げられていましたが,自らの政治的影響力の拡大を図ってきた彼にとって,これは由々しき問題と思ったというのは充分考えられることです。
しかし,いまこのときに民主党代表選に出馬すれば,世論の批判の矢面に立つことは充分予想できることです。
鳩山内閣が退陣する際に,自らが党幹事長の職を辞することになった理由を明確に理解しているのであれば,今回の代表選出馬が国民の多数から批判されることは容易にわかるはずですが,それにもかかわらずの出馬表明は国民のことなど考えない権力闘争に明け暮れる政治家のエゴの表出という印象を強く与えることになっています。

そして,この情勢をさらに混乱へと導いているのが鳩山前首相。

8月29日朝6時に放送されたTBSの「時事放談」で渡部恒三氏が苦言を呈していましたが,一度管首相支持を表明していながら,舌の根も乾かないうちに小沢支持を打ち出して,代表選出馬を促すという立場のぶれは,ふらふらと主張を変えて政局の混乱を招いた首相在任当時からぜんぜん変わっていません。

「私の一存で小沢氏を民主党に入れた。小沢氏を支持するのが大義だ」と記者団の取材に答えていますが,そのようなことは国の行く末とはまったく関係ない個人的な事情でしかなく,今この危機的状況にある日本をどうするかというときに,民主党を割ってさらに政局を混乱へと導くことになる決断をする理由にはなりません。

小沢氏にしろ,鳩山前首相にしろ,個人的事情ばかりを念頭に国政を動かそうという傾向が強いように思えます。
だからこそ,首相と幹事長が共に退陣へと追い込まれることになったはずなんですが・・・。
現に今でも,世論における小沢支持が非常に低いことには変わりありません。

しかも,まだ就任3ヶ月で何も具体的な政策実現をしていない管内閣を追い詰めてどうすると思うんですが・・・。
自分の面子や党内勢力保持のために,まだこれからという内閣に引導渡してどうするんだというのが正直な感想。

小沢氏は自らの意図を明確に語るということがないので,真意を理解出来ないところがあるのですが,少なくとも彼が支持派と共に明言した「国民のため」にがんばることにならないのは明白。

考えなしの小沢・鳩山連合の行動が民主党解体,民主党政権崩壊への道筋を準備することになる。

で,今晩管首相と鳩山前首相が会談する予定だそうですが,事態が変わらないことは容易に想像できますし,菅首相が「私が再選された場合には、すべての党員、議員に力を振るってもらえるような態勢をつくりたい」といっても,小沢グループが容易に納得するとも思えない状況で,はたして政権維持は可能なのか?

【関連情報】
菅首相・鳩山氏…きょうにも再会談(YOMIURI ONLINE:2010年8月29日03時08分)
菅氏69%、小沢氏15% 民主代表選で緊急世論調査(政治 - エキサイトニュース)
民主・小沢氏が代表選出馬表明、鳩山氏支持(YOMIURI ONLINE:2010年8月26日12時04分)
「小沢氏が国のために命かける決断」…鳩山氏YOMIURI ONLINE:2010年8月26日10時29分)
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by mmwsp03f | 2010-08-29 09:05 | 政治・国際事情
鹿児島県阿久根市の竹原市長の専決処分をめぐる問題が,またまたクローズアップされております。

市議会との全面対決の姿勢をあらわにして,就任当初から何かと市議会との衝突を繰り返してきた竹原市長ですが,少々行き過ぎと見られていた市政運営にもかかわらず,初めの頃は市民からのわりと高い支持を受けていたようだったのが,今度ばかりは市民も市長を見放し始めているみたいです。

【関連情報】
阿久根市議会、専決処分の11件すべて不承認(YOMIURI Online:2010年8月26日21時47分)
専決処分14件を不承認=「通年議会」条例を可決―阿久根市議会(時事通信社:2010年8月26日 17時24分)
阿久根市長は余裕の表情、市民「不毛な議会」(YOMIURI Online:2010年8月26日22時33分)
市長リコール住民投票へ 専決連発の阿久根市(社会総合 - エキサイトニュース)
阿久根市長に「是正勧告」 鹿児島県知事(J-castニュース)

「官民格差の解消」をスローガンに市政改革を訴えた竹原市長は,これまでに自らのブログ上で「やめさせたい市議」を募ったり,全職員の給与公開などの目立つパフォーマンスで注目を集めていました。
これだけでもかなり行き過ぎ感があるのですが,それでも彼を支持する人々の態度に変化はありませんでした(というよりも,支持者が増えた模様)。

今度は議会を無視して次々に専決処分を行ったということで,一転して彼の市政運営に対する批判が高まってきました。

最近のマスメディアでの報道で見られた,質問に対して答えようとせずにまるで駄々っ子のような素振りをみせる竹原市長の姿は,市政を預かるリーダーの資質が疑われるようなものでした。
マスコミの報道では,彼がいかにも他者の意見を聞かず,自らの意思をごり押ししようとする姿がクローズアップされたので,「なんとなく市長支持派」はそっぽを向いたものと思われます。

「駄々っ子独裁者」ぶりを披露する竹原市長に対して,とうとうリコール運動が起こり,いやいやながら開いた臨時議会では専決処分が承認されず,どんどん反対勢力に追い詰められています。

竹原市長が提起した市政運営の理念自体は間違ったものでなかったのですが,やり方が間違っていたため,結果として自らが提唱した改革を追い詰める結果となっています。
「駄々っ子独裁者」は,自分が行っていることは正しいという確信だけで強引な取扱も許容されると思い込み墓穴を掘ってしまいました。

つまり,竹原市長が議会無視の専決処分を繰り返すことによって,政敵に有利な状況を自らが用意してあげる結果になったということです。

ちなみに,専決処分は地方自治法180条にて下記のように規定されています。
第百七十九条
1 普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。
2  議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
3  前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。
第百八十条
1  普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長において、これを専決処分にすることができる。
2  前項の規定により専決処分をしたときは、普通地方公共団体の長は、これを議会に報告しなければならない。

【法令情報】
地方自治法(昭和二十二年四月十七日法律第六十七号,最終改正:平成二二年六月四日法律第四四号)

竹原市長は,「議会が市長に不信任状態だから、専決は正当。議会が不承認でも専決の有効性は失われない」と主張しているそうですが,地方自治法179条1項の「議会において議決すべき事件を議決しないとき」を根拠にしているようです。

専決処分は,緊急性の高い案件について早急に処理を行う場合の措置であり,市長反対派の市議が指摘するように「緊急性が高いとはいえない」というのは事実です。
しかも「軽易」でもないし・・・。

「議会が市長に不信任状態だから」という理由で議会を招集せずに専決処分を繰り返すことは,違法な措置と批判を受けても仕方がないものです。
しかし,その独走を止める手立ては今のところないというのが現状。

【関連情報】
法律違反誰も止められない「理由」 阿久根市長また議会抜き処分(J-castニュース)

2日間の臨時議会後の市民の反応も賛否両論に分かれているようで,どっちもどっちという感想を抱いている市民も少なからずいるのではないかという雰囲気が見られたりもします。

先だって鹿児島地裁の判決を受けて,市職員の給与を公開した張り紙をはがしたことを理由に懲戒処分を受けた職員が復職しましたが,この職員の解雇処分はどうみても行き過ぎの典型で,竹原市長の「俺のやることに従えないやつは排除する」というような,どっかの企業のワンマン社長のような市政運営は批判もやむなきといったところです。

だからといって反市長派の市議が主張することが正しいかといえば,そうともいえないわけですが,竹原市長がワンマン社長のような横暴振りを発揮することによって,彼らの主張が受け入れられやすい雰囲気をかもし出してもいるのです。

結局改革路線も「駄々っ子市長」の暴走によって頓挫する可能性が高まってきています。
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by mmwsp03f | 2010-08-27 05:53 | 政治・国際事情
「世界中の人が日本人と同じ暮らしをしたら地球が二つ以上必要」という日常生活の見直しを訴える報告書が,WWF(世界自然保護基金)ジャパンという団体から発表されたそうです。

これは単に日本だけに限らないことですが,先進国の中でも目立って日本の資源消費傾向が過剰であることを指摘しています。

【関連情報】
「日本人の生活、地球に負担」 WWFが指摘(社会総合 - エキサイトニュース)
エコロジカル・フットプリントで見る、日本がかけている地球への負担(WWFジャパン)

かなり前から問題視されていたコンビニやスーパーなどで市販されている賞味期限切れの弁当の大量廃棄に見られるように,現在の日本の生活文化は相変わらず大量生産大量消費を脱していない状況にあります。

しかも,大量の資源を使ってつくられているものが無駄に廃棄される割合が非常に高いことが,特にここでは問題とされているようです。

エキサイトで公表されている共同ニュースの記事に対して,アメリカのことを置いておいて日本のことをとやかく言ってどうする? ということを主張しているらしいブログもありますが,日本のWWFが日本を具体的な指標として環境問題を取り上げて,警鐘を鳴らしているだけのことであり,少々視点がずれている感があります。

たしかにアメリカによる環境破壊規模はかなり大きなものがあり,日本と共に改善していかなければならないものだと思います。
しかし,私たち日本人は日本の問題として環境負荷の低減を考えていくべきであり,そのための指標としてWWFジャパンがエコロジカル・フットプリントによる環境負荷水準を示し,日本人に向けて消費生活の見直しを考えてほしいということを訴えているのです。

ということを真摯に受け止めて,今後も自分なりにできることは何かを日々考えてみたいと思います。
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by mmwsp03f | 2010-08-26 05:53 | 社会問題一般

勘違い?「解雇解禁」論

一見すると,とんでもない主張に見える記事がダイヤモンド・オンラインというビジネス情報誌を発刊しているダイヤモンド社のWebサイトに掲載されています。

新卒やハケンだけを犠牲にすればいいのか? 今こそ正社員の「解雇解禁」を(DIAMOND Online)

この記事は,週刊ダイヤモンド副編集長の遠藤典子氏によるものですが,正直ツッコミどころ満載の内容だったりします。

先ず手始めに,

企業収益が改善するなか、失業率が上昇を続けており、雇用環境は悪化の一途を辿っています。

という記述から。

企業収益が改善しているのに何で失業率が上昇しているの? という疑問。
企業収益が改善しているのであれば雇用環境も改善されるんじゃないのと普通は思いますよね。
こういう場合は「企業収益が改善しているのにもかかわらず」とでもすべきところではないかと。
なんか,小論文添削のような雰囲気になってまいりました。(´д`;)

実は,本来ツッコムべきところはそんなところではなくて,正社員の解雇規制を緩和して整理解雇を一定のルールの下に実現できるようにするという主張こそがツッコミの総本山。
正社員はサービス残業を強いられ、中小企業では不当解雇が横行しています。同じ仕事をしても、正社員と非正規社員では、給料はもちろん、雇用保障に大きな格差があります。

 こうしたさまざまな矛盾や不平等は、どこから生まれるのでしょうか。その解決策を考えたとき、私たちは、解雇規制の緩和、つまり「解雇解禁」を提案します。

というような主張をなされていますが,まず「こうしたさまざまな矛盾や不平等は、どこから生まれるのでしょうか」という問題提起をしておいて,これに対して自分はどのように考えているかがまったく示されていません。

「さまざまな矛盾や不平等」を解決するために「解雇解禁」を主張しているのですから,この点をなおざりにしちゃまずいんじゃないですか?

まあ,この部分だけに限らず全般的にツッコミどころ満載なのですが・・・。

いつの間にか雇用不平等の解消論議から,企業の雇用リスクの話にすり替わり,それがなぜか企業の再編・淘汰へと進んでいくところも,主張に一貫性がありません。
「正社員」の解雇を容易にすることが,なぜ「正社員と非正規社員の雇用保障を平等にすること」に結びつくのか,この内容からは見えてきません。

それから,記事を読んでいて思うことは,この方は労働法や労働判例にちゃんと目を通しているのかということ。
過去の労働判例を見てみれば,これまでに使用者が雇用のルールである労働基準法(労働契約法含む)をないがしろにして,一方的な都合によって労働者を不利な状況に追い込んできたことが判るはずなんですが,それが判っていて「解雇解禁」などとおっしゃっているんであれば,とんでもない勘違いです。

一度大企業の正社員のレールに乗った既得権者にも、事実上の解雇自由を維持したい中小企業の経営者にとっても、「解雇解禁」は受け入れ難いでしょう。

ってなことが書かれていますが,正社員には受け入れがたいですけど,一部の中小企業の経営者にとってみれば「解雇」できるとお上からお墨付きを与えられれば諸手を挙げて喜ぶのではないですかね。

なぜ,これまで労働法・判例(整理解雇の4原則)によって解雇を簡単にできないようにしてきたのかを理解していれば,こういう主張にはならないはずなんですが・・・。
いくら遠藤氏がおっしゃるような「解雇の際の手続きのルール化」をしたところで,労働法を無視して不当な解雇や不利益処分を繰り返してきている企業には,何の効果もありません。
ただ,解雇の自由が与えられたと喜ぶばかりでしょう。

遠藤氏の主張は,正社員もハケンやアルバイト・パートなどの非正規社員と同じにしろといっているように思えます。
安易に「解雇解禁」などということを実現しようものなら,「最もワリを食うのは、われわれの息子、娘の世代」になるはずです。

たしかに正社員として安穏としてたいした仕事をこなしていない人もいます。
しかし,それが圧倒的多数ではないはずです。
まじめに仕事をこなしている正社員を「解雇解禁」によって,失業の危機にさらしてよいのでしょうか?

「新卒やハケンだけを犠牲にすればいいのか?」というキャッチコピーが,「新卒やハケンだけでなく正社員も犠牲にしなくてよいのか?」というように見えてしまうのは,私のうがった見方でしょうか?

解雇をするということは,その人の収入の道を断つということであり,それが解禁され企業の都合によって世に失業者があふれるようになれば,途端に不況へまっしぐらとなるのは経済の素人でさえ判る理屈です。

なぜ労働法や判例で解雇を簡単にできないようにしてきたのか,その理由を理解もせずに「解雇解禁」などということは,少なくとも影響力の大きい経済誌が口にすべきことではありません。
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by mmwsp03f | 2010-08-25 05:12 | 労働問題
Yahoo!ニュースの記事に下記のようなものがあり,ちょっと気になりましたので今回取り上げてみたいと思います。

任天堂、ディズニー、ジッポー…“神サポ”“神対応”は本当か?(産経新聞:8月21日20時11分)

カスタマーサポートで対応のよかった企業に対する神話ともいえる過剰な高評価がブログや掲示板サイトなどでうわさとして広まっているそうで,中でもゲームメーカーの任天堂に対する評価は絶大で,「神サポ」の代名詞のように言われているみたいです(話題の発信源は,2ちゃんねるの模様)。

ネット上で噂されている任天堂のサポートが現実に行われているのかを産経新聞の記者が尋ねてみたところ,否定も肯定もせず同様の質問についてはノーコメントを貫いているとのこと。

【産経新聞の記者の取材に対する任天堂広報の回答】
世界中からネットのうわさの真偽の問い合わせが1日に何十件と来るが、1つのうわさの真偽を答えてしまうと、「これは本当ですか」「これはどうですか」ときりがなくなるので、答えられない。世界中で「井戸端会議」をしているようなものだ。良い対応をしているということを広めてもらうのは喜ばしいが、こちらからは何も言うことはない

たしかに,いちいち回答することは難しいでしょうし,広報の回答の仕方によっては誤解を与える可能性も否定できない。
任天堂にとっては,基本にのっとったカスタマーサポートにちょっと気の利いた対応をしたら,思ってもいなかったほどの反響があって戸惑っているといったところでしょう。

未だに自らの責任を回避しようとする企業が多い中,自社の製品に対する責任を明確化し,カスタマーサービスの基本を追及している企業は際立ってよく見えます。

ただ,マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏が産経新聞のインタビューに答えて「企業の対応の良さにつけこんで来る人が出てくると、神サポも企業のコスト要因になりかねない」とおっしゃっているように,カスタマーサポートの好対応を逆手にとって,必要以上の利を得ようとする者が出てくるのも事実。

企業の高評価を維持するためには,多少謎の部分を残しておくことも必要なのかもしれません。
高い評価を得ているのであれば,あえてその点には自らが言及せずというのが賢い方法とも考えられます。
ただ,消費者による過剰な評価が浸透するとそれに伴って要求水準がアップしますので,企業が成すべきサービスの質のハードルが高騰し,高すぎる水準をクリアしていないと途端に評価失墜ということにもなりかねないので,非常に悩ましい状況といえます。

信頼される企業としての地位を維持するというのは,非常に難しいものです。
いかにして顧客が要求する水準を過剰なまでに上昇させることなく,一定の状況に維持していくのかが今後のマーケティングの課題になってくるのではないでしょうか?
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by mmwsp03f | 2010-08-22 10:09 | 日々雑感
昨日発刊されたOxford Dictionary of English の第3版に新語として「hikikomori」が登録されたそうです。

【関連情報】
英オックスフォード辞書に「引きこもり」「ブブゼラ」(SankeiBiz:2010.8.20)

これまでオックスフォードの英語辞典は,いくつかの日本語を新語として掲載してきましたが,第2版(1993年版)では「karoshi」が登録されていました。

この「karoshi」は,掲載時に日本人労働者の超過労働の現実とともに日本に限らず,欧米諸国でも大きく取り上げられました。

日本の労働者は過労死するほどに過酷な労働条件を甘んじて受け入れ,日本企業はそれを強いているというように,海外諸国に認識されるようになりました。

これは日本ならびに日本人にとって非常に不名誉極まりないことです。

しかも,「karoshi」をGoogleで検索すると筆頭に「karoshi Game」というものがヒットします。
実際の中身をご覧いただければわかると思いますが,死ぬことでゲームクリアとなるかなりブラックな内容です。
普通のgameは,各ステージに用意されている障害を回避し,生き残ることでゲームクリアとなるものですが,あえて危険に飛び込んで死ななくてはなりません。
これはgameを通じて「過労死」を揶揄しているものといえるでしょう。

【関連情報】
Karoshi Game.com
Karoshi Suicide Salaryman

第2版発刊当時に比べるとインパクトという点では弱いのですが,「ひきこもり」が新語として採用されるということは,これもまた不名誉なことに他なりません。

もしこれと同じような単語が多く採用されるようになれば,これが日本の文化的特質として世界各国に認識されることになってしまうことでしょう。

日本には未だにちょんまげを結って刀を腰に差した「Samurai」が存在するというような誤解であればまだかわいいものですが,日本企業で働くには「Karoshi」を覚悟しなければならないとか,日本人の若い男は皆「hikikomori」ばかりで働かないとか思われてしまったら大変です。

特に日本人が「ひきこもり」ばかりだという認識をもたれれば,日本は情けない国として自ずと諸外国からは舐められることになります。
これは対外的なビジネスを展開する上では非常に不利だといえます。

皆さんは,世界的権威ある英語辞典に不名誉な日本語が並ぶことをどう思いますか?

私は,このような現状は日本社会の危機を象徴するものと考えます。
実は,外国人の日本に対する認識は,日本社会の状況を図るバロメータとしての役割を果しているのです。
別に何とも思わないという人は,要注意です。

海外とのかかわりが密接になればなるほど,相手からなめられる材料が増えれば増えるほど不利な状況に直面する機会が多くなっていくのです。
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by mmwsp03f | 2010-08-20 23:57 | その他
図書館というと,本・雑誌・新聞などの紙媒体を通じて知識の収集をする場所というアナログなイメージがありますが,昨今は図書館もかなりデジタル化が進行してきています。

例えば,自分たちが住んでいる地域の公立図書館で本を借りるとき,事前に図書館のWebページで読みたい本を検索し,貸出予約するという仕組みはかなり浸透してきており,実際に利用された方も多いことと思います。

そのような中で,音楽データの貸出をインターネットを通じて行おうという取り組みがちらほら見られるようになってきました。

岐阜県飛騨市と千葉県流山市の市立図書館では,CD貸出に代わるサービスとしてナクソス・ジャパンが提供する音楽ライブラリーのデータを利用するシステムを導入するそうです。

【関連情報】
図書館向け、CD 貸出サービスに代わる音楽配信サービス――岐阜県・飛騨市図書館が導入(Japan Internet.com:2010年7月9日 14:00)
流山市立図書館、音楽配信サービス「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」を導入(IT総合 - エキサイトニュース)
ナクソス・ミュージック・ライブラリとは?(NAXOS公式サイト)

これまでCD等の貸出は紛失・損傷,再生機器の耐久性などの管理問題が一番のネックになっていました。
それに購入できる予算も限られているので,書籍の購入等のバランスを考えると音楽・映像ライブラリの充実はかなり難しいものだったと思います。
それに,予算とともに保管・閲覧スペースの確保などの問題もあって,音楽・映像ライブラリ・サービスを実施していない図書館も多いようです(私の自宅そばの図書館ではCD等貸出は行っていません)。

今回のNAXOSジャパンが提供する音楽ライブラリは,クラシック,民族音楽,ジャズなどのジャンルをカバーするもので,毎月定額の料金を支払うとCD3万枚分の音楽情報が聴き放題となるサービスです。

【NAXOSジャパン情報】

NAXOSジャパン公式サイト
NAXOSジャパン公式ブログ
NAXOSミュージック・ライブラリ

NAXOSは,安価でありながら良質な演奏のCDを販売し,売れ筋商品にこだわらずにマイナーな作品を積極的に世界各国の音楽ファンに提供してきた結果,現在ではユニヴァーサル,BMGなどの並み居る大手と肩を並べるほどに成長したレーベルです。

私もずいぶん前からお世話になっているレーベルです。

メジャーな作品ばかりを販売し,収益確保を図ろうとする大手レーベルに比べ,地味で知られていない作曲家や演奏家の音楽を取り上げてきた結果,まさしく世界の音楽の知を集積したライブラリを構築するまでに至ったといっても良いでしょう。
そのようなNAXOSのライブラリは,図書館で提供する情報としてふさわしいものといえます。

NAXOSは,積極的に大学図書館や公共図書館を対象とした独自サービスを展開しており,これにサービスの質向上とコスト抑制を両立させたい図書館側の要望がマッチして,徐々に普及して行っているようです。

このような図書館のインターネットを利用したサービスが普及する一方で,かねてから実現が望まれていた全国の図書館を結ぶ検索サービスが,いよいよ本格稼動に向けて始動することになりました。
それが,国立国会図書館サーチ(NDL Search)と呼ばれる検索サービスです。
詳細は,下記のリンクをご覧あれ。

【関連情報】
「国会図書館サーチ」開発版が公開、全国図書館の蔵書や資料などを検索可能(Impress Watch:2010/8/18 06:00)
国立国会図書館サーチ(平成22年8月17日開発版)の公開について(国立国会図書館:平成22年8月17日)

かなり前から,日本全国の図書館をネットワークで結び,必要な資料を検索できるサービスが研究者を中心に求められてきました。
その要求に応えるべく開発が進められ,一元的に資料・書籍等の検索を可能とする検索システムのプロトタイプがようやっとお目見えしたわけです。

でもまあ,まだプロトタイプですから,今後利用者の声を聞きながら徐々に改善していくとのことですから,まだまだ完成には年月がかかりそうですが,それでも資料検索の手間がかなり省けそうな感じもありますので,期待してもいいのでは?

はてなブックマークやツィッターにも対応しているようです。
ツィッターで情報交換しながら,どこそこの図書館にこんな資料があるよなんてタイムリーに利用できるというのはいいですね。

ちょっと登場に時間がかかりすぎといった感が無きにしも非ずですが,より利用しやすいシステムへ進化していくことを願っております。
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by mmwsp03f | 2010-08-18 22:58 | その他
新卒者採用が低迷しているということで社会問題化していますが,それに対して日本学術会議が既卒でも卒業後数年は新卒と同じ扱いにしてはどうかという提言を発表しています。

【関連情報】
大学生の就職難深刻、学業に影響…両立へ日本学術会議緊急提言(YOMIURI ONLINE:2010年8月16日)
「意義の乏しい選び合い」改革必要…日本学術会議提言(YOMIURI ONLINE:2010年8月16日)

日本学術会議という学術研究の代表機関がこのような提言を行うということは,かなりな異常な事態なのですが,そのことを企業や就職活動を行っている当人たちはどのように考えているのでしょうか?

読売新聞の記事によれば,この提言を受けて文科省では「業界の協力も得て、提言を現状改善につなげる考え」とのこと。
ただし,文科省のこれまでの教育政策を見る限りにおいては,残念ながら有効な施策を打ち立てることは期待できそうにありません。

それに大学や専門学校などの教育機関サイドが現状改善を図ったところで,経済界がそれに応えなければ結局は「画餅に帰す」ということになりかねません。

要するに,就職活動におけるイニシアチブは依然企業側にあり,彼らの思惑如何で「就職問題」の今後が左右されることには変わりありません。

これまでに新卒の就職をめぐるルールは,都度経団連によって作成され,加盟企業へ提言されてきましたが,そのルールを無視して勝手な採用活動を行ってきた企業が大手でも少なからず存在しました。
結局,法的拘束力のないものを遵守する必要はないという考え方なのでしょうが,そのようなモラリティの欠如が現在問題視されていることも併せて無視されているようです。

さて,ここで問題となるのは,なぜ企業は新卒採用にこだわるのか?という点です。
ぜひともさまざまな企業の意見を伺いたいものですが,新卒と既卒1~2年程度の人にどの程度の
差があるとお考えなのでしょうか?

多くの就職活動をしている学生やその親御さんにとってみれば,ただ単に就職活動で不利にならないようにするために,する必要もない留年をしなければならないのは納得できないでしょう。
それに既卒だからといって,就職浪人1年目で就業経験者と同じ土俵に上らなければならなくなる中途採用でしか応募できないというのはどう考えても理不尽です。

当然のことながら就業経験がほとんどないわけですから,経験者募集に応募したところで歯牙にかけられるわけもありません。 

日本企業の採用活動は旧態依然としているという批判は,さまざまなところで起こってきています。
それなのにもかかわらず,どうしてそのような批判が起こってくるのか,多くの企業で自社または業界における採用活動の慣例にどのような問題があるのかを分析し,改善しようという意気が感じられないのが現状です。

企業にとって必要な人の条件は,「新卒」であることではないはずです。

自らのスキルを磨き,それを仕事に生かしていこうと取り組む姿勢をもつ人こそが必要なのではないでしょうか?

「新卒」で就職にあぶれてしまった人を無能力者のように考える風潮があるようですが,そのような考え方はナンセンスです。
彼らはたまたま「新卒」で就職できなかったのであり,運よく就職できた人とどの程度差があるかは全く不明であるといえます。

運よく就職できた人の中には,とりあえず与えられた仕事をこなすだけでよいと考える人もいるでしょうし,期待していたほど仕事に取り組もうとしない人もいるはずです。
ひょっとしたら「既卒」の中には彼ら以上にスキルを磨いてよい仕事をしてくれる人がいるかもしれない。

「新卒」にこだわる採用活動は,そのような人財を発掘する機会をむざむざ逃してしまうことになるかもしれません。
自らに手かせ足かせを嵌めることになるような採用活動は放棄したほうがよいでしょう。

いいかげん,わざわざマーケットを狭める手法は自らが損をするということに気づくべきではないでしょうか。

【関連情報】
日本学術会議公式サイト
文部科学省ホームページ
社団法人 日本経済団体連合会
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by mmwsp03f | 2010-08-17 10:35 | 労働問題