まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa
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カテゴリ:社会問題一般( 35 )

お久しぶりです。
2ヶ月ほどの期間を開けてのブログ更新となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
前回は御殿場小旅行のお話をしましたが、今回はガラリと変わって著作権保護期間の延長について思うところを述べてみたいと思います。

今度の参院選は、主に憲法改正問題とアベノミクスが争点となっているようですが、その陰に隠れて見過ごされているのが著作権保護政策に関する内容。

あまり話題に上らないけど知財立国を標榜する日本にとっては案外大切な問題です。

先日、政府が著作権保護期間を現行の「死後50年」(著作権法51条2項)から「死後70年」に延長する旨の著作権法改正の方針を明らかにしたそうです。

■著作権保護、70年に延長 日米TPP事前協議

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を前に、日本が著作権の保護期間を権利者の死後50年から70年に延長する方針を決めたことが明らかになった。4月に開いた日米事前協議で、日本が米国に歩み寄り、著作権を含む知的財産分野の交渉方針を米国と統合する案を示した。知財分野は新興国と先進国の利害が一致せず、交渉が遅れている。日本は米国と連携を強化し、7月23日から参加する交渉の主導権を握る狙いだ。

政府の内部資料には知財分野を含む7項目の交渉方針案を記載。日米事前協議の前に日本政府の考え方を示した。TPP交渉を前に日米の連携策を確認する内容だ。

著作権は「保護期間を少なくとも権利者の死後70年間とする」と明記した。日本では小説、コミック、音楽など著作権の保護期間を死後50年、映画は公表後70年と著作権法で定めている。保護期間を延ばすには著作権法の改正が必要だ。

米国は海外での著作権収入を増やすため、保護期間の延長をTPP交渉で各国に働きかけている。ディズニーの「ミッキーマウス」の使用料などで米国が国外から得る収入は年間約10兆円。保護期間を延ばすほど知財の収益拡大につながる。

日本はアニメやゲームなどの輸出に力を入れている。作品がまだ新しく、著作権使用料収入は年1300億円程度。著作権の保護期間を延ばせばすぐには効果は出ないが、将来の収入増を見込める。一方、誰でも自由に作品を利用できる日が遠のき、古いドラマや音楽を安く楽しめなくなる恐れもある。2009年に文化審議会で検討したが、賛否両論があったため、まだ結論は出ていない。

著作権の保護期間は世界では死後70年が主流だ。すでに米国や欧州連合(EU)は70年に延長済み。TPPの交渉参加11カ国のうち、保護期間を死後50年にしているのはベトナム、マレーシアなど5カ国。日本はTPP交渉をきっかけに国内の制度を改正するとともに、米国と協力してTPP域内に先進国型の知財ルールを導入する方針だ。

海賊版など著作権侵害への対応も強化する。今は著作権侵害を立件するには権利者の告訴が必要だが、「権利者の告訴が無くても検察の判断で起訴できる制度を導入する用意がある」とした。

新制度を導入すれば著作権者の売り上げを守り、コンテンツ産業の底上げにつながる可能性がある。海外の海賊版対策も強化できる。半面、2次創作やパロディー作品が取り締まりの対象になりかねず、創作活動の妨げになるとの指摘もある。

民事訴訟で具体的な損害額が立証できなくても、法定額の範囲で損害賠償請求を認める新制度の適用も可能とした。海賊版は特に海外での被害実態をつかみにくい。知財保護が不十分な国での違法行為をけん制する。

日本経済新聞(2013/7/9 2:06)

今回の著作権法の改正の方針は、単なる保護期間延長だけではなく、法律によって損害賠償額をあらかじめ定める等の海賊版規制の強化を主眼とする、かなり広範な改正を予定しているようですね。

さて、ここで注意を要するのが「著作権」の概念です。

「著作権」というと「著作者が創作した作品に対して自らが持っている権利」ぐらいに漠然と考えている人が多いようですが、法律上の定義はかなり違っています。

一般に「著作権」と呼ばれているものは、著作権法では著作者人格権と著作権というものに分類されています(著作権法17条1項)。分類されているということは、この2つは権利として性質が異なっていることを意味しています。

つまり、著作者人格権は著作者と不可分の権利であるのに対して、著作権は著作者以外の人にも譲渡・移転が可能な財産権なのです。

したがって、著作者=著作権者であるとは限らないというところが注意を要するところです(このことを理解していないと恐らく上の日経の記事を読んでもよく解らないんじゃないかと思います)。

もし、著作者=著作権者として固定されていたら、著作者が死んだ後にも著作権が保護されるっていうのはおかしな話ですよね。

さて、日経の記事をみてみると著作権保護期間を欧米並みに著作者の死後50年から70年に延長する旨の法改正を行う方針であることが記されていますが、これはいかがなものかと私は思うのです。

なぜかというと、著作物等の知的財産は人類の共有財産であり、本来は皆が平等に享有することができるものとされているからです。

ちなみに商標権は「商標の使用をする者の業務上の信用の維持」(商標法1条)を目的としているので、「共有財産」としての性格をもっていないので除外されます。

そもそも著作物を独占的に管理する権利である著作権は、それを生み出した人(団体)に対するインセンティブ(報酬)として認められているもので、必要以上に権利を延長するというのは、知的財産を人類の共有財産とする思想に反するものと考えられます。

だいたいインセンティブを受けるべき著作者が死んだ後、半世紀にもわたって権利を保護すること自体、「長すぎだろう」とツッコミを入れたくなるところなのに、さらに+20年保護期間を延長するというのはどうなんでしょうか?

果たして、著作者の没後、孫どころか曾孫の代にまで著作権を保護する必要性があるのでしょうか?

特許権は特許庁に登録後20年しか保護されないのに、著作権の保護期間は異常なほど長すぎると言わざるを得ません。

結局は、著作権の移転・譲渡を受けた特定企業や著作権管理団体の権益を保護するために、本来の趣旨をゆがめているとしか思えないのです。
これらの企業・団体は、著作者が生み出した著作物を世に広めるための貢献に対するインセンティブを得る権利はあるでしょうが、著作者が得るインセンティブを大幅に上回る権益を与える必要はないはずです。

必要以上の権益保持は、多くの人々の知的財産利用に大きな障害となるばかりだと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
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by mmwsp03f | 2013-07-17 23:11 | 社会問題一般

サクラサイト注意報!

ここ数年でサクラサイトによる詐欺被害が増大しているそうです。
サクラサイトといってもいろいろありますが,最近特に注目されているのが芸能人を騙ってだますスタイルのものだそうです。

【関連情報】
"サクラサイト商法" タレントも対策PR(NHK生活情報ブログ)
詐欺的“サクラサイト商法”被害撲滅キャンペーン(独立行政法人国民生活センター)

NHKのブログでは,相談があったものだけでも「平成21年度は3万3000件で被害総額は78億円、平成22年度は2万8000件で103億円、平成23年度は2万6000件で108億円」と上昇傾向にあるそうです。
これは,芸能人などの著名人を騙った詐欺被害だけではなく,サクラサイトに関する被害の相談件数・総額としてカウントされているものでしょうが,有名人を騙った詐欺が底上げした結果でもあるんでしょうね。

未だに私の携帯に迷惑メールが送られてくるんですが,相も変わらず稚拙な方法でサクラサイトへ誘導しようとしています。

いきなり,300万支払確定だの,まったく面識もないのにお金をあげるから付き合ってほしいだの,ありえないだろというような文面のメールが送りつけられてきます。

普通に考えれば詐欺メールとわかりそうなものなのですが,意外と気が付かないで騙されてしまう方が先の相談件数と被害額を見てもわかるようにたくさんいます。

未だに迷惑メールがひっきりなしに送られてくること自体が,それを物語っているといえるのでしょうね。

NHKのブログ記事に書かれている事例(タレントの上地雄輔さんを騙った詐欺)を見てみると,被害にあった女性は自ら墓穴を掘る行動をとっていることがわかります。

どうも,自分のお気に入りのタレントと接触できたと思うと舞い上がってしまって,相手の思惑通りに行動する傾向が強いように思われます。

まず,女性を「ライブに誘う」ということですが,これは有り得ることなのでさほど疑う要素はないように思えますが,問題なのはその次!
「『来てくれたら、ウインクをする』とか『手を振る』とか、そういうことを事前に伝える」そうですが,ここが疑惑のポイントになります!

面識がない相手(単に握手会とか,そのほか大勢のファンと一緒にあったことがあるだけでは面識があるとは言いません)に向かって,どうやってウィンクしたり手を振ったりするんだ?と,ここで疑わなければいけません。

そこでこの点を追及すると,どのような格好で行くのか教えてほしいとか,自分にもわかるように服装や持ち物などを指定してくるらしいのですが,ここも疑惑のポイント(その2)になります。

そんなことを聞いてくるってことは,あなたの容姿を把握していないということを露呈してしまっています
つまり,「あなたのことなんか知らないよ」って言っちゃっているようなものです。

そして,ブログ記事に書かれてあるところで次に注目すべきところは,
帰宅してから、「きょうは目が合ってうれしかった」などの感想を送れば、男はシメシメと思い、「そうだよ、来てくれてありがとう」ということになります。
というところ。

よくありがちなのは,聞いてもいないのに相手に自分が不利になる情報を提供してしまうことです。
これは,自分をアピールしたいがためにしてしまうミスなのですが,必要以上に自分の情報を開示することは避けたほうがよろしい。

不特定多数を相手にする詐欺師は,だます相手の行動をいちいちチェックしていません。
したがって,この女性のコンサートでの行動を(面識がないんだから当然)逐一チェックしていません。

この女性の行動をチェックしていないわけですから,彼女の言っていることを詐欺師は信用する他ありません(ここは大変重要です!)。
つまり,言うことに同意する以外の選択肢はないということです(ただし,「そうだったっけ?」というようにとぼけることはできますが)。

ということは,その状況を逆手にとって相手が詐欺師かどうかを見極めることができるはずです。

たとえば,最前列にはいなかったのに,「最前列にいたけど気づいてくれた?」というようにカマをかけてみるとか(事前に,どの席にいるかを相手に伝えてあった場合には使えませんが…)

この場合は,肯定する以外に詐欺師には選択肢がありません。
なぜなら,事前に「ウインクする」とか「手を振る」とか言っちゃっているからです!(彼女を認識できることが前提となっている)
否定をしたら,どこにいたかということが問題となりボロが出てしまいます。

まあそれ以前に,いきなり上地さんが教えてもいないメールアドレスやSNSにアクセスしてくることがあるはずないということが判るリテラシーがあれば,引っかかるはずもない事例だったりするわけですが…。

ブログの最後のほうで,「相手を信用しない余裕をもつことで、初めて冷静に対処できるのかもしれません」と書かれてありますが,「相手を信用しない余裕」というよりも,「相手が誰かを確かめる余裕」と言い換えたほうがよいかもしれませんね。

さて今回のポイントです。

1) いきなり,面識もない相手に有名人が個人的に親密な付き合いをするよう連絡してくることはない。

2) ファンを相手に金銭を要求することは基本ありえない(なぜなら,ファンに弱みを握られてしまいますし,マスコミに知られたら大問題になるからです。もし本当に本人が金の無心をしてくるようなら,それまでのヤツと見切りをつけること)。

3) 自らの情報の開示は最低限にし,相手が本人かどうかを都度確かめること。

一番手っ取り早い方法は,所属事務所などに確認をとることでしょうね。
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by mmwsp03f | 2012-05-31 08:16 | 社会問題一般

奇妙な竹中ロジック

「ウォールストリート・ジャーナルJAPAN」のツィートで、東電の国有化問題に関する竹中平蔵氏(慶應義塾大学教授で小泉政権時代の経済財政・金融担当大臣)のインタビューについて告知されていたので、ちょっと覗いてみました。

【関連情報】
【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授(ウォールストリート・ジャーナル日本版)

読んでみた感想を一言で言うと「変なレトリックにより粉飾された奇妙なロジック」ってところですかね。

それについては、先にツィッターでひとりごとをつぶやいておきましたんで、まずはそちらをご覧あれ。
「『実質的』国有化という言葉がよく使われるが、これはおかしい。名目的に、完全な国有化が必要だ」というのもかなりおかしい RT @WSJJapan: 【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授 http://on.wsj.com/wdKkNm

金融は特殊だと言いながら足利銀行を例にしたり、実質的国有化じゃなく名目的完全国有化と言ったり、主張がチグハグ>【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授 - WSJ日本版 http://on.wsj.com/wtyo3B

竹中平蔵氏の独特な思考回路では,矛盾のない理路整然とした主張に思えるんだろうけど,一般的な思考回路の持ち主には変なことを言っているとしか思えない。

竹中氏は,要するに,公的資金を投入して東電を維持するのではなく一時的に完全国有化にして,その間完全に国がコントロールし,国が有用な経営陣を据えることができた時点で民間に売っぱらうということを言いたいようだけど,表現がおかしいので,意図するところの半分も伝わらないだろうなあと思う。

ところが,その竹中氏のレトリック自体が奇妙なので,意図が正確に伝わったとしても多くの批判を浴びることは避けられないだろう。

上のツィートの中で「金融は特殊だと言いながら足利銀行を例にしたり」という件がありますが、これはちょっと勘違いしていたようで、竹中さんは「金融では預金保険法102条によって救済方法が定められているのに対して、電力業界ではそのような法律による規定がない」という意味で「特殊」と言っていたんですね。

ちょっと「金融業界での救済事例は電力業界には当てはまらない」という意味と誤解していたんですね。
いやあ、お恥ずかしい。

その他のところについては、そのような誤解はないものと思います。

さて、竹中氏のインタビューにおける主張の中でまず俎上にあげられるのが、「実質的」国有化と名目的な完全国有化という変な表現。

「名目的」の意味を履き違えてないかい?と思うのと同時に、この場合の表現として「実質的国有化=名目的民営」で、竹中氏が言うところの完全国有化とは「名目的」なものではなく「一時的」としたほうが適当だと思ったんですよね。

これって経済学上の意味での名目(または実質)にも当てはまらないんじゃないかと思うんですが、いかがなもんでしょう。

【関連情報】
経済統計の基礎知識―名目と実質について(農林中央金庫総合研究所)―PDFファイル

そして竹中さんは、東電を100%国有化せよと主張しているわけですが、その際の具体的な運営方法が明示されていないのです。

まあインタビューなんで、あんまり細かいところまでは説明できなかったのかもしれませんが、それにしたって「議決権は100%国が持つべきだ」と言っておきながら、国のどの機関が議決権を持つべきなのかが明確ではないのはいかがなもんでしょう。

経済産業省が東電牛耳っちゃうの?
それとも国会が議決権掌握するの?
まさか内閣(閣議)によって東電を統制するの?

なんか、いずれの方法もうまくいかなそうな気がするのは私だけですかね?

それで竹中さんはこんなことも言ってたりします。
国有化している間、つまり議決権を100%持っている間に経営者に責任を取らせ、新しい経営者を入れ、必要なリストラを全部行う。その上で、それを民間に売ればいい。ストラクチャーは非常に簡単だと思う。

なんか簡単だとか言っているけど、本当なの?とか思ったりして…

しかも民間に売るとか言っているけど、どっか買ってくれそうなところあるんかい!とかツッコんでみたりして。

他にもツッコみどころは多々あれど、あんまり書き綴っていってもしょうがないんで、肝心要な「完全国有化」ってところに関する主張の内容をツッコンで終わりにしておきたいと思います。

東電の経営を担う人材を外部から調達するのは難しいのでは?との質問に対する竹中さんの言い分。
だからこそ、100%国有化する必要がある。そうすれば、政府が任命責任を完全に握ることができる。政府が全責任を負うということだ。全面的に責任を負っている国が人選をして、(登用した人材が)ダメだったらクビにして、いい人材が出てくるまでそれを続けるということだ。

 今のような形だと、いったいだれが責任を負っているのか分からない。最終的な責任は東京電力にあるわけだが、責任の所在は非常に不明確だ。公的な機能を負っている以上、電力会社そのものをなくすわけにはいかないのだから、今回は国が全部責任を持つ。そのような形で責任の所在を明確にしなければならない

肝心なところは太字にしておきました。

やたらと「政府が全責任を負う」ということを強調しております。
つまりは、言い換えると東電は政府の言いなりにせよってこと。
人事権も政府が掌握して、ダメな経営者は首をすげ替えるなんてことを言っています。

この方は人財育成の専門家ではないので、こんなことを平気で言っちゃったりしているようですが、外部からがんじがらめに規制され、責任をもたない経営者が有用な人財に育つわけありません。
政府の言いなりな訳ですから、イエスマンを養成せよと言っているようなものです。

「ダメだったらクビにして、いい人材が出てくるまでそれを続ける」って、いつまで?
そんなやり方じゃあ、いい人財なんて現れんでしょう。

外部から調達できない前提での話で、次々にクビにしていったら、それこそ東電に人いなくなっちゃうよ。

竹中プランに従っていたら、「国有化はするが、それは一時的なものだ」という竹中プラン第2段階(東電の民間への売却)に移行することはおそらく不可能でしょう。

それこそ実質的な国有化、ひいては恒久的国有化になっちゃいそうなツッコミどころ満載のロジックでした。
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by mmwsp03f | 2012-03-11 23:52 | 社会問題一般

物議をかもす採用基準

去る2月2日に、老舗出版社の岩波書店がWeb上の「社員募集要項」で、2013年の社員募集における応募条件を「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」と公表したことが物議を呼んでいます。

この社員募集は、要項の中に「2013年度定期採用(経験者含む)」とあるように、既卒者を含むものとなっています。

【関連情報】
岩波書店-2013年度 社員募集要項(岩波書店著者・社員紹介)
岩波書店:就職応募条件に「社員紹介必要」(毎日.jp)
岩波書店、採用で「著者か社員の紹介必要」(YOMIURI Online)
岩波書店の「縁故採用」宣言 そんなに悪いことなのか(J-Castニュース)
大手出版・岩波書店、2013年度の社員応募条件に著者からの紹介状など挙げる(FNNフジニュースネットワーク、動画あり)

最近、あまりにも応募者が多いので「足きり基準」を懸命に考えて、それを公表した途端、世間からバッシングを受ける企業があとを絶ちません。

以前、キヤノンが在学校別の説明会受付をしていたことが問題となりましたが、今回はさらに一歩進んで「応募条件」に「縁故」を条件としていることで、厚生労働省が事実関係を調査すると重い腰を挙げる事態になっています。

読売新聞の記事では「事実上の縁故採用とも取られかねない告知方法」とありますが、「取られかねない」のではなく、明確に「縁故」を最低条件とする採用を明言しているのです。

FNNのテレビニュースで、岩波の採用担当者は「あくまでも応募の際の条件であり、筆記試験、面接試験を行って採用を決めています。入社に強い希望をお持ちの方には、門戸は開かれていると考えています」と主張しているようですが、「入社に強い希望をお持ちの方」でも、紹介がなければ入社試験を受けることすら出来ません。

このことをもって機会均等の原則に反するので問題だとする主張が出てきているわけですが、あらゆる企業が社員募集において採用条件を付けている時点で「機会均等」とはいえないので、その点は批判として的を得ているとはいえません。

では、何が問題かというと応募条件・採用条件の内容です。

先のFNNの取材に対して岩波書店の人事担当者は「採用予定人数が極めて少ないため、エントリー数との大きな隔たりを少しでも少なくするためです」と言っていますが、これは言葉を変えて言うと「採用予定人数に合わせて応募者を減らす」ということで、その真意は「そんなにたくさん応募されても人事が大変なだけだから、応募者が減るようにこのような条件を付けた」ということです。

つまり、人事の採用選考の負担軽減が大前提で、会社にとってどのような人財を欲しているのかは2の次になっているのです。

毎日新聞の記事には、「毎年採用は若干名なのに対し、応募は1000人に及ぶこともある。現在は、結果的に落とすための試験になっており、できるだけそれを避けるため」とありますが、落とすためだけの試験になっているのを避けるための方法としては非常に安易といわざるを得ません。

採用条件を付けること、それ自体は当然のことであって批判されるべきものではありません。批判されるべきなのは、その安易さなのです。

それに、これまでにも同様の基準で採用選考を行ってきて、いまこの時期に応募要項に明示してきたということは、応募者の足きり基準を明確化して人事の負担軽減を意図してのことと考えることが出来ます。

人事がもっとも労力を費やすべき、将来会社を担う重要な戦力を選定する方法を簡略化して楽をしようと考えているところが大問題だと私は思います。

それに、紹介をしてもらったということで著者に対して引け目を感じ、強く言うことが出来なくなったり、社内における派閥形成に利用されたりと著者と社員・社員間の関係における弊害も当然考えられるわけで、その点をまったく考慮していないというところがまた問題だったりします。

採用選考は、どのような人財が必要かを前提に採用基準・方法を考えるべきであり、人事はそのための労力を惜しむべきではありません。

それとも、岩波書店は「コネ」がある、またはコネをつくることに長けている人を会社にとってもっとも有能な人財の最低条件だと考えているのでしょうか?
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by mmwsp03f | 2012-02-05 09:45 | 社会問題一般

今そこにある危機

iPhone4S発売によって,またスマートフォンやタブレットPCの販売競争が加熱気味になっていますね。

最近では携帯電話よりもスマートフォンをいじっている人の方が多く,電車の中で右を見ても左を見ても,必ずスマートフォン(特にiPhone)をいじっている人を必ず3人ぐらいは見かけます。

それだけiPhoneを筆頭とするスマートフォンは,人々の物欲を大いに刺激する要素をたんまりと備えているということを表しているわけですね。

しかし,ここ数年来のスマートフォン・タブレットPCブームは,利便性の向上,より広い情報端末の普及を促している一方で,ネット詐欺やサイバーテロの脅威を確実に増大させているのも事実です。

時々ニュースで官公庁や企業へのハッキング等の事件を見かける程度で,一般にはあまりなじみが薄いかに見えますが,インターネットの普及以来あらゆる情報端末がその脅威にさらされ続けているのです。

そんな大層な情報も持っていないし,自分は関係ないやと考えている人も数多いようですが,そういう認識を持っている人々が,実はネット詐欺やサイバーテロの主たるターゲットになっているのです。
特に,セキュリティに関心の薄い,ウィルス対策も何もやっていないよという人々は,彼ら詐欺師やテロリストにとっては最も有力な協力者と言えるのです。

セキュリティに対する認識の甘い人が使っている情報端末は,当然セキュリティ対策も甘甘なので,トロイの木馬などのウィルスを仕込みやすく,官公庁や企業の攻撃の踏み台にされたり,有害なサイトに誘導されて金銭的被害を被ったりすることになります。

特に最近のスマートフォンやタブレットPCの急激な普及は,テロリストにとってみれば,より広範囲に被害を拡大させる絶好の機会であるわけです(詐欺師にとってみれば,カモの大量増員によってウハウハ状態ということになります)。

スマートフォンやタブレットPCの中で,Android端末はオープンソース(ソフトウェアを開発する上での基本的な設計情報を一般に広く公開すること)のOSなので,Androidに対応したアプリケーションは開発しやすいのですが,その分悪意のあるプログラムによってOSが異常動作するように改変することも容易になります。

ですから,Android端末にはセキュリティソフトをインストールすることが推奨されているわけですが,果たしてどれだけの人がそれをやっているのか……。

オープンソースのOSではないiOSを搭載しているiPhoneやiPadのユーザーの方が多く,iOS向けの製品は一部限定的にセキュリティベンダーがサービスを提供しているだけで,アップル自体も特に対策を講じていないようなので,こちらの方がもっとセキュリティに対する認識は甘いといえるでしょう。
メーカーがセキュリティ対策に消極的なのは,OSの基本情報を公開しておらず,iOS用アプリの認定プロセスを厳格に遵守しているという自負があるのでしょうが,だからといって悪意あるプログラムによる攻撃を回避できると考えるのは軽率です。

シマンテックなどのセキュリティベンダーが調査した結果,iPhoneもセキュリティリスクへの対策は万全ではないとの判定を下していますし,今後iOSでもセキュリティを強化していく方向で対策を講じる必要があると思います(セキュリティベンダーがこのような判定をしたということは,少なくともクラッカーがOSの基本情報がなくとも解析ができ,悪意ある攻撃によってOSにダメージを与えることは可能であることを示しています)。

世界的にも普及著しいiPhoneはテロリストの格好のターゲットといえます。
なぜなら,テロリストは被害がより大きく,攻撃が最大限の効果を及ぼすように,その手段を考えるからです。
このiPhoneに対する攻撃が成功すれば,世界中の多くの人々にテロによる打撃を与えることができるでしょう。

このようなことを踏まえ,メーカーサイドでセキュリティソフトの導入はオプションではなくデフォルトとすべきだと私は考えます。

今そこにある危機を認識せず,「自分は関係ない」と思っている人が実は大きな被害をもたらすファクターになるのです。

結局,セキュリティを確保するためには人々の危機意識,取り組む姿勢が最も重要なのですが,それを持てない人々には,半ば強制的にでもセキュリティ対策をメーカーサイドで講じるほかないと思うのですが…

【関連情報】
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by mmwsp03f | 2011-10-25 12:28 | 社会問題一般
光学系メーカーとして名高いキヤノン(正式な表記は「キャノン」ではない)が、2012年度入社の新卒事務採用(夏期)説明会で、在籍校別の予約受付をインターネット上で行っていたことが、大きな話題になっています。

【キヤノンの新卒事務採用説明会のWeb予約画面(部分)】

【関連情報】
露骨な学歴差別なのか キヤノンの大学別新卒説明会(J-castニュース)

何が話題になっているかは、新卒事務採用説明会のWeb予約画面(部分)をご覧になればお分かりかと思いますが、あえて言えばキヤノンが露骨なまでに学歴差別を前面に打ち出しているかのような採用説明会を行おうとしていることが大きな話題になっているのです。

記事によると否定的な意見ばかりではなく、肯定的な意見もあるようです。
画面を見たネットユーザーからは、「学歴フィルター露骨すぎるwww」「学歴差別は当たり前だが、こういう露骨なことしたらイメージダウンひどいだろ」などの声が上がっている。「なんで千葉大や筑波大がないんだ」といった自分の大学名がない学生からの不満も出ている。

その一方で、大学別に選抜することは当たり前で、「自分が対象じゃないことが分かるし、こっちのほうが親切だ」「学歴差別を隠している企業に比べたら好感を持てる」といった意見もある。
だけど、「親切だ」「好感が持てる」って意見って、何かおかしくないですかね?

このような方法は親切でもなんでもなく、ただ単に人事がいくらかでも面倒を省いて楽をしたいからというのが本音のような気がしますし、学歴差別をすること自体が問題なのに、隠していないから良いというのはどう考えても奇妙な考え方であろうと思います。

でまあ、キヤノン側の弁明自体もおかしなことだらけです。

「これはあくまで『説明会』であり、『選考会』ではない」とか言っているそうですが、説明会が入社選抜の第1関門だというのはずいぶん昔から就職活動の常識となっているので誰もこんなこと信じませんし、キヤノン側も当初からそのつもりであったことは明白です。

なぜなら、単なる説明会で選考会ではないのであれば大学別に説明会などを開催する必要性は全くないからです。
大学別説明会をするということは、その大学の学生をターゲットにしているということを明確に示しています。

しかも、指定大学以外のフリー枠が少ないことから、その他の大学の就活生の予約を制限しようという意図が明明白白です(上掲の予約画面を見る限り2枠しかありません)。

「できるだけ多くの学生に参加していただきたい」のであれば、なぜこのような特定大学を優遇する説明会を開くのか?

「学歴なんてどうでもいいというのが社の方針」なのであれば、なぜ大学を指定して説明会を開くのか?

まったく説明になっていません!!

「ネットの反応は予想外」とのコメントも、本当にキヤノンの人事は世の中のことがわかっているのか?と言いたくなる杜撰な回答です。

こんなコメントをしている企業の人事が、就活生と面接して「あなたの言うことには説得力がない」とか言ったりしているのかと思うと滑稽です。
まずもって言動不一致なことは、いわゆる社会人としては非常に問題ですし、会社の顔となるべき人事として「誤解を招く」ような表現・行動を取らないように気をつけるべきなのは当然の常識です。

そのような常識を兼ね備えていない人事が、就活生に常識を語るのはさらに滑稽であるといわざるを得ません。

以前から私が主張している「最も教育が必要なのは人事担当者である」という命題が、この事件によって裏付けられたかのような印象を抱いています。
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by mmwsp03f | 2011-07-24 01:14 | 社会問題一般

混迷する地デジ化政策

東北の被災3県を除き、とうとう地デジ化完全移行まで2週間となりました。

放送法の改正によって地上波放送の地デジ化が決定してから10年。地デジ化実施期限が今年の7月24日にせまる中、総務省は受信者の地デジ化が思ったほど進んでいない現状に焦りを感じています。

そのため、直前のこの時期にさまざまな地デジ化支援策を打ち出していますが、かなり拙速で場当たり的なものであるため、かなりな混乱が見られます。

総務省では、低所得者世帯や身体障害者等を対象とする地デジチューナー支援を実施していますが、この支援の受付をデジサポが実施している臨時相談窓口で直接手渡すという方法を取るようになりました。

これまでは、地デジチューナー支援実施センターというところに必要書類を送って地デジチューナーを送付してもらうという手続きをしていたのですが、完全地デジ化移行を目前に早急な対応が必要とのことで、このような方法を取るようになりました。

ところが、そのような措置を実施することをデジサポに通知する前に読売新聞にすっぱ抜かれるという事態となってしまいました(6月25日の朝刊)。

何も知らされていないデジサポではかなりの混乱があった模様ですが、とりあえず現在は地デジチューナー支援申告者に対する受付はなんとか軌道に乗ってきたようです。

結局、このような混乱が生じる原因というのが、総務省の見通しの甘さと自らの達成目標のクリアを最優先に考えているからに他なりません。

つまり、場当たり的な措置を繰り返してきた結果、目標達成へどれだけ近づいているのかを明確に把握できていなかったことと、達成目標の完遂できなかったことへの評価の失墜を恐れる官僚的自己保身の発想が、混乱を引き起こす政策の乱発となっているということなのです。

総務省による地デジ化の進め方には多くの人から疑問の声が上がっており、絶えず批判が起こっているわけですが、それを真摯に受け止めて政策に反映させようという考え方が欠けているため、本当に必要かつ有効な施策とはいえない措置が取られ続けるというところが、中央省庁の進歩のなさを物語っていると言えます。

それは被災地復興についても言えることで、中央省庁の役人は何でもかんでも責任を内閣に押し付けようとしますが、行政を担っている彼らが実際の支援策の具体的な方策については考え、実行する立場なのに、それすらも内閣に責任転嫁しているように思えます。

内閣にも当然問題はあるのですが、それ以上に行政を担う官僚の計画性のなさ、自己保身の姿勢が目標達成を阻害する要因になっているのだということを官僚自身が自覚するとともに、そのようなことを阻止するために国民自らも必要に応じて批判的な意見を上げることが必要なのです。

【関連情報】
地上デジタルテレビ放送のご案内(総務省)
社団法人 デジタル放送推進協会
総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)
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地デジ:未対応なお29万世帯 NHKと総務省調査(毎日.jp)
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by mmwsp03f | 2011-07-10 09:54 | 社会問題一般
震災以後、原子力発電に代わる自然エネルギー開発の論議が活発になってきています。

つい先ごろソフトバンクの孫正義社長が、被災地支援に100億円を投入することを宣言したのに続いて、私財をなげうって「自然エネルギー財団」という団体をつくり、日本のエネルギー政策を主導していく意向を表明しています。

【関連情報】
[JAPAN REALTIME] 進化する孫正義―慈善事業からエネルギー政策まで(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)
「生まれてきた使命を果たす」ソフトバンク・孫正義氏"自然エネルギー財団"設立(BLOGOS)

孫社長に限らず、福島原発問題を機に自然エネルギー開発への転換を主張する人がいきなり増えましたね。
政府も電力供給体制の見直しを公言していますし、世界的にも原発反対の機運が高まり、自然エネルギーを声高に求める動きが活発化しています。

そこでやたらと注目されているのが太陽光発電システム。自然エネルギー開発の中では地熱発電が最も安定的に供給できる有力株だと思うのですが、なぜか太陽光発電ばかりがやたらもてはやされています。

先日の統一地方選で神奈川県知事に当選した黒岩祐治氏は、「『ガンバロー!日本』ソーラープロジェクト」なる電力開発計画をもって、太陽光発電システムを県の財政から捻出して神奈川県下200万世帯に設置することを表明しました。

ご本人いわく英知を結集した「革命的」で「画期的」なプランだそうなんですが、どう考えたって「革命的」でもなければ「画期的」でもない上に、実現可能性が著しく低い「夢のような」プランです。
黒岩氏は、やたらと「理論上は」を強調しているのですが、ひょっとしてご本人も実現可能性が低いことを自覚していらっしゃるのでしょうか?(4月11日には公約を修正しているようです)

【関連情報】
神奈川県知事に立候補した『黒岩祐治』が掲げる 【原発不要論】!と【マグネット・プロジェクト】の全容が明らかに!!(あっ!とおどろく放送局)
節電対策(その3・地方自治体レベル)(二宮町商工会 椎野修平 ブログ)

黒岩氏は、試算では200万世帯分のソーラーパネルによる発電能力は原発1.5基分と声高に主張していましたが、1.5基分では足りないでしょうと思うのと同時に、本当にそれだけの発電能力があるの?という疑問がよぎったりして…。

しかも、かなり甘々な天候予測に基づいた希望的観測ではないかと思ったりして…。

まあ、黒岩氏の甘々な希望的観測は置いといて、天候に左右され、安定的な電力供給が難しい太陽光発電システムがもてはやされる一方で、なぜかあまり話題に上らないのが蓄電技術。

こういう不安定な発電システムには、特に蓄電というバックアップシステムが不可欠だと思うのですが、何だか電力の生産にばかり目が行ってしまって、議論がおざなりになっている気がします。

別に蓄電技術は、自然エネルギーの補完システムというだけではなく、火力・水力・原子力の各発電の下でも有効なバックアップシステムだと私は考えます。

これまでにも、特に夏季は冷房機器フル稼働で電力供給が追いつかないという状況がみられたわけですから、そのような状況にも対応するために高性能なバッテリーを各家庭・事業所に配置するといったことも考えるべきではないでしょうか?

特に太陽光発電は、曇天では稼働率が著しく低下し、日没後は稼働しないので、晴天時や日中に発電した電力をため込んでおくことも必要になるはずです。

しかし現状のバッテリーは、大して蓄電効率が良いとは言えないので、より大容量・長寿命で小型のバッテリーによるバックアップシステムを構築するよう、政府・地方公共団体・企業が一体になって研究・開発を支援すべきと思います。

これから自然エネルギーに転換していくには、単に電力の生産という視点だけではなく電力の貯蓄も視野に入れていくことが当然必要になってきます。

孫社長の「自然エネルギー財団」には、そのようなバックアップシステム(サポートシステム)を含めて効果的な電力供給のあり方を考え、実現してもらいたいと思います。
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by mmwsp03f | 2011-04-26 15:29 | 社会問題一般

歴史的教訓を生かす姿勢

東北地方太平洋沖地震によって損壊した福島第1・第2原発では、未だに危機状況を脱することが出来ず、現地では自衛隊・消防・東電関係者等による被曝の危険にさらされながらの懸命な復旧作業が続けられている中で、東電本社のこれまでの対応に批判が噴出してきています。

その中でも、最も深刻で批判が多いのが福島第1原発の損壊に伴う放射性物質の大量放出問題を「想定外」の事態と繰り返す姿勢。
予想を大幅に上回る津波による被害を強調することによって、責任逃れをしようと言い訳に終始しているという印象を抱かせる会見の内容は、多くの研究者の批判を浴びています。

東電が「想定外」とする状況は、実は「想定内」であったことを指摘する報道が相次いで為されるようになりました。
この「想定内」とする指摘は、震災直後からNHK等でコメンテーターとして招かれていた研究者の方(残念ながらお名前を記憶していません)が、869年7月13日(貞観11年5月26日)に三陸沖を震源地とする貞観大地震をあげて解説をされていました。

【関連情報】
大津波、2年前に危険指摘 東電、想定に入れず被災(科学・環境 - エキサイトニュース)
「『想定外』言い訳に使うな」 土木など3学会、声明で苦言(社会総合 - エキサイトニュース)
【福島第1原発】東電「貞観地震」の解析軽視(毎日.jp)

Wikipediaで「三陸沖地震」を調べてみると、過去にマグニチュード8以上と想定される地震は少なくとも5回あったことが掲載されていました。

中でも「明治三陸沖地震」は、北海道から宮城県の沿岸地域の広範囲に津波が押し寄せ、観測史上最高位となる津波(38.2m)が記録され、多くの地域で10mを超える津波が観測されたそうです。

過去の記録をたどっていくと、東電が主張する「想定外」というのは単なる言い訳に過ぎず、充分「想定内」であったことが判ります。

たしかに地震の大きさは「想定外」でしたが、津波の大きさは「想定内」ですし、福島第1・第2原発は地震の波動によって損壊したのではなく、津波によって損壊したのです(津波によって損壊したことは東電も認めています)。

これは、東電の経営陣が過去に学ぼうとしなかったというよりも、過去の事例をあえて無視したがために起こった災害といえます。
なぜなら、上記の記事の中にあるとおり、すでに3年以上前から津波による脅威とそれに対する耐久性への不安が専門家から指摘されているのにもかかわらず、それをなおざりにして安全対策を採ってきていないからです。

リスクの高い施設を運営するためには、さまざまな事態を想定して対応を検討すべきなのは当然のことです。
ましてや、過去に重大な被害をもたらした震災が記録されており、充分「想定内」の事例であればなおさらのことです。

上記記事中には、航空機が墜落した場合のことも想定した危機管理をすべきことを主張した東芝社員の話が出てきますが、これも9.11テロのことを考えれば、充分想定可能な事例です。

よく仕事の上でも経験することですが、職場で想定されるリスクとその対応について提言すると、「そんな起こる可能性の低いものに対応する余裕はない」とか「ネガティブなことばかり言うな」というような反応が返ってくることがあります。

これは、リスク対応にかかるコストを回避したい、面倒なことに対応したくないというような思惑が働くためです。
結局、リスク管理は検討するという口上の元に先送りまたは放置され、実際に問題が起こった時に慌てふためくということになるのです。

何を行うにもリスクが伴うものですが、さまざまな事態を想定して損失を最低限に抑えようという努力は必要不可欠です。

それがリスク度の高いものであればなおさらで、ましてや過去にあった歴史的教訓があるのにもかかわらず、それを生かした対処法を考えていなかったことを「想定外」と主張して自己保身を図ることはもってのほかです。

福島原発危機が過去のものとなった時、東電はどのような対応を取るのか。

当然に原発の安全性向上を図ると同時に災害補償の大きな負担も背負うことになります。

結局は、歴史的教訓に目を瞑り、リスク対応にかかるコストをケチることによって、その何倍、何十倍という負債を抱えることになるのです。

このことは、われわれ一人ひとりが肝に銘じなければいけない「歴史的教訓」でもあるのです。

【関連記事】
関心度と学力の相関関係(ブログ内記事)
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by mmwsp03f | 2011-03-27 10:21 | 社会問題一般

苦情を呼ぶ公共広告

東北地方太平洋沖地震が起こってからの各企業のCM自粛によって、その穴を埋めるためにACジャパン制作の公共広告が頻繁に放送されるようになりました。

このACのCMはバリエーションが少ないことから、何度も同じ内容が繰り返し流されて、正直うんざりしている方も多いと思います。

ツィッターの書き込みを見ても、CMの最後に入る「エ~シ~」が妙に気になるとか、飽きたとか、いいかげんやめてほしいなどという意見がかなりありました。

かなりの人がACのCMについては不快感を持っていたようで、ACジャパンに苦情が殺到し、脅迫をするものまで出る始末。

【関連情報】
AC大量CMに苦情殺到…脅迫電話も(デイリースポーツオンライン)
「東北地方太平洋沖地震」にあたってACジャパンのCM放送についてのお詫びとお知らせ(社団法人 ACジャパン)

まあ、確かに私もあのCMには辟易としてはいますが、だからといってACジャパンにわざわざ苦情を言うという気にはなりません。

デイリースポーツオンラインの記事を見てみると、かなり的外れな勘違い苦情が殺到しているらしいですね。

中に「子宮がんや脳卒中予防の内容に対し『こんな大変な時にがん検診なんか行けるか』といった」苦情があるとのことですが、これを見て私が思ったことは、大きすぎる問題はその他の諸問題への人々の意識を喪失または薄れさせてしまうということ。

われわれの社会が抱えている問題は、何も被災者救援や震災復興、原発危機だけではありません。

今もガンや脳卒中などの病気を抱えて苦しんでいる人々がいて、今健康であるように思えるわれわれの中にもガンや脳卒中になってしまう危険性をもつ人々がいるわけです。
こういった病への対策は、震災が起こったからといって消えてなくなってしまうものでも、待ってくれるものでもありません。

これ以外にも消費者問題、労使問題、環境問題、外交問題など、対処しなければならない懸案事項が山積みなのです。

たしかに今回の震災は、他の諸問題を薄れさせるほどのインパクトの強い現在進行形の大問題ではありますが、その他の懸案も忘れてよい訳ではありません。

「こんな大変な時にがん検診なんか行けるか」という苦情は、震災のショックで心に余裕がない状態でのものと思いますが、だからといってなにを言ってもかまわないわけではありません。

震災時に放送されているCMだからといって、必ずしも震災に関連したものだけを流さなければならないわけではありませんし、公共広告が震災一色というのも他の諸問題を排除しているようで、かえってよくないと私は思います。

今回の事件は、なかなか思うように進まない震災復興に対する苛立ちの矛先がACジャパンに向けられる形となっているようですが、そのようなことをしても不満の解消にはなりません。

大きな問題にばかり目を向けてばかりいると、他の問題が先送りにされたり、未解決のまま放置される可能性がありますので、他にも目を配るということを心がけてほしいと思います。

ところで、ACジャパンではCMのバリエーションを増やし、「『東北地方太平洋沖地震』で被災された方々を応援する臨時キャンペーンCM」を公表する予定だそうですが、なんか遅きに失した感があって、また苦情を呼びそうな予感があるのですが大丈夫なんですかねえ。
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by mmwsp03f | 2011-03-22 02:48 | 社会問題一般