奇妙な竹中ロジック
2012年 03月 11日
「ウォールストリート・ジャーナルJAPAN」のツィートで、東電の国有化問題に関する竹中平蔵氏(慶應義塾大学教授で小泉政権時代の経済財政・金融担当大臣)のインタビューについて告知されていたので、ちょっと覗いてみました。
【関連情報】
■【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授(ウォールストリート・ジャーナル日本版)
読んでみた感想を一言で言うと「変なレトリックにより粉飾された奇妙なロジック」ってところですかね。
それについては、先にツィッターでひとりごとをつぶやいておきましたんで、まずはそちらをご覧あれ。
上のツィートの中で「金融は特殊だと言いながら足利銀行を例にしたり」という件がありますが、これはちょっと勘違いしていたようで、竹中さんは「金融では預金保険法102条によって救済方法が定められているのに対して、電力業界ではそのような法律による規定がない」という意味で「特殊」と言っていたんですね。
ちょっと「金融業界での救済事例は電力業界には当てはまらない」という意味と誤解していたんですね。
いやあ、お恥ずかしい。
その他のところについては、そのような誤解はないものと思います。
さて、竹中氏のインタビューにおける主張の中でまず俎上にあげられるのが、「実質的」国有化と名目的な完全国有化という変な表現。
「名目的」の意味を履き違えてないかい?と思うのと同時に、この場合の表現として「実質的国有化=名目的民営」で、竹中氏が言うところの完全国有化とは「名目的」なものではなく「一時的」としたほうが適当だと思ったんですよね。
これって経済学上の意味での名目(または実質)にも当てはまらないんじゃないかと思うんですが、いかがなもんでしょう。
【関連情報】
■経済統計の基礎知識―名目と実質について(農林中央金庫総合研究所)―PDFファイル
そして竹中さんは、東電を100%国有化せよと主張しているわけですが、その際の具体的な運営方法が明示されていないのです。
まあインタビューなんで、あんまり細かいところまでは説明できなかったのかもしれませんが、それにしたって「議決権は100%国が持つべきだ」と言っておきながら、国のどの機関が議決権を持つべきなのかが明確ではないのはいかがなもんでしょう。
経済産業省が東電牛耳っちゃうの?
それとも国会が議決権掌握するの?
まさか内閣(閣議)によって東電を統制するの?
なんか、いずれの方法もうまくいかなそうな気がするのは私だけですかね?
それで竹中さんはこんなことも言ってたりします。
なんか簡単だとか言っているけど、本当なの?とか思ったりして…
しかも民間に売るとか言っているけど、どっか買ってくれそうなところあるんかい!とかツッコんでみたりして。
他にもツッコみどころは多々あれど、あんまり書き綴っていってもしょうがないんで、肝心要な「完全国有化」ってところに関する主張の内容をツッコンで終わりにしておきたいと思います。
東電の経営を担う人材を外部から調達するのは難しいのでは?との質問に対する竹中さんの言い分。
肝心なところは太字にしておきました。
やたらと「政府が全責任を負う」ということを強調しております。
つまりは、言い換えると東電は政府の言いなりにせよってこと。
人事権も政府が掌握して、ダメな経営者は首をすげ替えるなんてことを言っています。
この方は人財育成の専門家ではないので、こんなことを平気で言っちゃったりしているようですが、外部からがんじがらめに規制され、責任をもたない経営者が有用な人財に育つわけありません。
政府の言いなりな訳ですから、イエスマンを養成せよと言っているようなものです。
「ダメだったらクビにして、いい人材が出てくるまでそれを続ける」って、いつまで?
そんなやり方じゃあ、いい人財なんて現れんでしょう。
外部から調達できない前提での話で、次々にクビにしていったら、それこそ東電に人いなくなっちゃうよ。
竹中プランに従っていたら、「国有化はするが、それは一時的なものだ」という竹中プラン第2段階(東電の民間への売却)に移行することはおそらく不可能でしょう。
それこそ実質的な国有化、ひいては恒久的国有化になっちゃいそうなツッコミどころ満載のロジックでした。
【関連情報】
■【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授(ウォールストリート・ジャーナル日本版)
読んでみた感想を一言で言うと「変なレトリックにより粉飾された奇妙なロジック」ってところですかね。
それについては、先にツィッターでひとりごとをつぶやいておきましたんで、まずはそちらをご覧あれ。
「『実質的』国有化という言葉がよく使われるが、これはおかしい。名目的に、完全な国有化が必要だ」というのもかなりおかしい RT @WSJJapan: 【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授 http://on.wsj.com/wdKkNm
金融は特殊だと言いながら足利銀行を例にしたり、実質的国有化じゃなく名目的完全国有化と言ったり、主張がチグハグ>【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授 - WSJ日本版 http://on.wsj.com/wtyo3B
竹中平蔵氏の独特な思考回路では,矛盾のない理路整然とした主張に思えるんだろうけど,一般的な思考回路の持ち主には変なことを言っているとしか思えない。
竹中氏は,要するに,公的資金を投入して東電を維持するのではなく一時的に完全国有化にして,その間完全に国がコントロールし,国が有用な経営陣を据えることができた時点で民間に売っぱらうということを言いたいようだけど,表現がおかしいので,意図するところの半分も伝わらないだろうなあと思う。
ところが,その竹中氏のレトリック自体が奇妙なので,意図が正確に伝わったとしても多くの批判を浴びることは避けられないだろう。
上のツィートの中で「金融は特殊だと言いながら足利銀行を例にしたり」という件がありますが、これはちょっと勘違いしていたようで、竹中さんは「金融では預金保険法102条によって救済方法が定められているのに対して、電力業界ではそのような法律による規定がない」という意味で「特殊」と言っていたんですね。
ちょっと「金融業界での救済事例は電力業界には当てはまらない」という意味と誤解していたんですね。
いやあ、お恥ずかしい。
その他のところについては、そのような誤解はないものと思います。
さて、竹中氏のインタビューにおける主張の中でまず俎上にあげられるのが、「実質的」国有化と名目的な完全国有化という変な表現。
「名目的」の意味を履き違えてないかい?と思うのと同時に、この場合の表現として「実質的国有化=名目的民営」で、竹中氏が言うところの完全国有化とは「名目的」なものではなく「一時的」としたほうが適当だと思ったんですよね。
これって経済学上の意味での名目(または実質)にも当てはまらないんじゃないかと思うんですが、いかがなもんでしょう。
【関連情報】
■経済統計の基礎知識―名目と実質について(農林中央金庫総合研究所)―PDFファイル
そして竹中さんは、東電を100%国有化せよと主張しているわけですが、その際の具体的な運営方法が明示されていないのです。
まあインタビューなんで、あんまり細かいところまでは説明できなかったのかもしれませんが、それにしたって「議決権は100%国が持つべきだ」と言っておきながら、国のどの機関が議決権を持つべきなのかが明確ではないのはいかがなもんでしょう。
経済産業省が東電牛耳っちゃうの?
それとも国会が議決権掌握するの?
まさか内閣(閣議)によって東電を統制するの?
なんか、いずれの方法もうまくいかなそうな気がするのは私だけですかね?
それで竹中さんはこんなことも言ってたりします。
国有化している間、つまり議決権を100%持っている間に経営者に責任を取らせ、新しい経営者を入れ、必要なリストラを全部行う。その上で、それを民間に売ればいい。ストラクチャーは非常に簡単だと思う。
なんか簡単だとか言っているけど、本当なの?とか思ったりして…
しかも民間に売るとか言っているけど、どっか買ってくれそうなところあるんかい!とかツッコんでみたりして。
他にもツッコみどころは多々あれど、あんまり書き綴っていってもしょうがないんで、肝心要な「完全国有化」ってところに関する主張の内容をツッコンで終わりにしておきたいと思います。
東電の経営を担う人材を外部から調達するのは難しいのでは?との質問に対する竹中さんの言い分。
だからこそ、100%国有化する必要がある。そうすれば、政府が任命責任を完全に握ることができる。政府が全責任を負うということだ。全面的に責任を負っている国が人選をして、(登用した人材が)ダメだったらクビにして、いい人材が出てくるまでそれを続けるということだ。
今のような形だと、いったいだれが責任を負っているのか分からない。最終的な責任は東京電力にあるわけだが、責任の所在は非常に不明確だ。公的な機能を負っている以上、電力会社そのものをなくすわけにはいかないのだから、今回は国が全部責任を持つ。そのような形で責任の所在を明確にしなければならない。
肝心なところは太字にしておきました。
やたらと「政府が全責任を負う」ということを強調しております。
つまりは、言い換えると東電は政府の言いなりにせよってこと。
人事権も政府が掌握して、ダメな経営者は首をすげ替えるなんてことを言っています。
この方は人財育成の専門家ではないので、こんなことを平気で言っちゃったりしているようですが、外部からがんじがらめに規制され、責任をもたない経営者が有用な人財に育つわけありません。
政府の言いなりな訳ですから、イエスマンを養成せよと言っているようなものです。
「ダメだったらクビにして、いい人材が出てくるまでそれを続ける」って、いつまで?
そんなやり方じゃあ、いい人財なんて現れんでしょう。
外部から調達できない前提での話で、次々にクビにしていったら、それこそ東電に人いなくなっちゃうよ。
竹中プランに従っていたら、「国有化はするが、それは一時的なものだ」という竹中プラン第2段階(東電の民間への売却)に移行することはおそらく不可能でしょう。
それこそ実質的な国有化、ひいては恒久的国有化になっちゃいそうなツッコミどころ満載のロジックでした。
by mmwsp03f
| 2012-03-11 23:52
| 社会問題一般