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まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa
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デジタル教材と教育効果

皆さんは小・中学校でパソコンやネットワーク技術を駆使した教材が普及することについて,どう思われますか?

今後小・中学校でデジタル教材を本格的に導入するための協議を行うことが,昨日開催された総務省と文部科学省によるシンポジウムで正式に公表されました。
デジタル教材の本格導入に向けて中心的役割を担う「デジタル教科書教材協議会(略称=DiTT)」という団体が発足し,その団体の会長に小宮山宏氏(現三菱総合研究所理事長、元東京大学総長)が就任したそうです。

【関連情報】
デジタル教科書 普及目指し協議会発足…70社が参加(毎日jp:2010年7月27日 21時53分)
小・中学生向けのデジタル教科書教材協議会が正式発足~ソフトバンク・孫社長など招きシンポジウムを開催(PC Watch)
「デジタル教科書教材協議会」MSやソフトバンクなど70社で設立(Internet Watch)
デジタル教科書教材協議会(DiTT)公式サイト


このデジタル教材の普及推進の中心的役割を担っているのが原口一博総務大臣で,日本の教育を世界のダイナミックな変化に対応させて変革させていくことを主眼として,このような施策を打ち出したということを主張されています。

このシンポジウムでは,実際に実験的に行われた教育現場のデジタル化についての報告もあったそうですが,記事にはどの程度の教育的効果があったのかは記されていません。


既に,主要な教科書会社ではデジタル教材を販売していて,サイト上でも教材の見本が公開されていますので,内容を確認することが出来ます。

【参考情報】
光村チャンネル/光村の提示型デジタル教材シリーズ(光村図書)
新しい算数 デジタルコンテンツ(東京書籍)

実際に東京書籍の「新しい算数」の小学三年生向けのコンテンツ「ぼうグラフのかき方をまとめよう」をいじってみましたが,操作のわかりにくさが目立っていたような気がします。
それから間違った入力をしても,それを指摘することなく,次へ進むといきなりグラフが修正されていたりしました。
Excelだって入力ミスをするとエラーを返してくるのに,教材がきちんと間違いを指摘しなければ何にもならんと思うのですが・・・。

そのような教材の質も今後の協議会における検討課題ということになるのでしょうが,現在のデジタル教材の発想は,紙媒体に+αの機能を付加しただけのものが多く,あえてこれをデジタル化する必要があるのか? と疑問に思えるのも事実。

まあ,教育の世界も官僚と同様の前例主義みたいなものがあって,先に作られた教材や教育方法を踏襲するのが当たり前のようになっています。
本当にデジタル技術の特性を生かした教材を制作したいのであれば,そのような前例主義にとらわれない人々に教材を創造していただかないと,本当の意味での「変革」にはなりえません。

それに,もう一つ大きな問題となるのが,デジタルに依存してアナログな部分を排除した教育方法が確立されないかという懸念。

パソコンを使っている人に共通して見られるのが,筆記した際に漢字が思い出せないという現象。
パソコンで文書を作っているとIMEが自動で漢字変換をしてくれるので,漢字を忘れてしまう人が続出中!
ネット利用者で誤変換をしても気づかないということがよく見られますが,これは入力した文章を見直さないからということもありますが,正しい漢字表記を忘れているか,知らないというのが圧倒的です(私も誤変換のまま投稿というのをよくやってしまいますが・・・)。

IMEのお粗末な変換精度に頼った結果が誤字脱字の嵐となるわけです。
DiTTの皆さんには,そこいらへんも十分検討したうえで,デジタル教材とアナログ教材の今後を考えていただきたいものです。


さらに言うと,コストの問題もありますね。

まずデジタルコンテンツを利用するには,パソコン等のデジタル機器の操作を習得しなければなりません。
小学校でデジタル教材を導入するということは,デジタル機器を操作するカリキュラムを小学校低学年の段階で実施しなければならないということ。
恐らく,これはかなり手間とお金がかかりますよ。

デジタル教材の負担は,子ども手当から充当するということをうたっていますが,聞いてビックリ!
一人当たり月にかかる費用は280円ですと。
いったいどっからそんな試算がはじき出されるのか。
楽観的過ぎるにもほどがある。
たぶんネットの接続料金分にしかならない金額で何が出来ると?


70社に及ぶ企業が名を連ねているということは,このデジタル教材に多大な利益を期待して参加を表明していることは明らかです。
これほどの多くの企業がかかわる事業で,たかだか一人頭280円で済むはずがナイ。

また,官僚的どんぶり勘定で負債が増大となりそうな雰囲気をかもしているところが,大いに気になります。

このデジタル教材普及振興は,教育方法だけではなく財源問題でもひと波乱ありそうな予感がします。
by mmwsp03f | 2010-07-28 13:14 | 教育