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まあ思いついたことをつらつらと書き綴っています(写真は奥多摩から見た富士山)。


by M.M@Kanagawa
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軍楽隊の起源

本日は,YouTubeで久々にオスマンの軍楽を堪能いたしました。
お聴きになるとわかると思いますが,なかなかインパクトのある面白い音楽です。



この動画で演奏されているのはジェッデン・デデンといって,オスマン帝国の軍楽の中でも最も演奏される機会が多い古い軍隊行進曲です。
日本でも,時々流れることがあるので知っている人もいるのではないかと思います(橋田寿賀子ドラマでも使われた楽曲です)。

西洋式ミリタリー・バンドを聴きなれている人には,歌が入るのはちょっと違和感があるかもしれません。
しかし,もともとの軍楽は歌入りが多いのです。
なお,トルコでは軍楽のことをメヘテル(Mehter)あるいはメヘテルハーネ(Mehterhane)と呼んでいます。

このオスマン帝国のミリタリー・バンドはネウベット(nevbet)といって,現代の西洋式ミリタリー・バンドのルーツとされています。

起源をたどると,かなり昔まで遡ることができるそうですが,彼らトルコ人が現在居住している小アジアにやってくる以前,中央アジアで遊牧生活を送っていた頃から宮廷楽隊として存在し,どうやら7世紀ぐらいには原型となる軍楽隊が存在していたらしい。

ネウベットは宮廷楽隊としても機能していましたが,やはり主な活躍の場は戦場だったそうです。目的地到着の際や大規模攻撃に先立って兵士の士気を鼓舞する目的でメヘテルを演奏していたみたいですね。

実際に,1453年のメフメット2世のコンスタンティノープル攻略の時にも登場し,ネウベットによる演奏が始まると次には大攻勢が待っていると,コンスタンティノープルの守備軍に対して精神的な威嚇効果を及ぼしたようですね。

で,このネウベットの基本編制ですが,

・チュウゲン(鈴の付いた杖)
・ズルナ(二枚リードの縦笛でチャルメラやオーボエの仲間)
・ボル(トランペット)
・ジル(シンバル)
・ナッカーレ(小太鼓)
・ダウル(両面を2種類のバチでたたく太鼓)
・ケス(2つで1組になっているティンパニのような大太鼓)

となっています。

ちなみに,チュウゲンを振りながら拍子をとっている人が歌を歌っています。

オスマン帝国のメヘテルは一時期ヨーロッパで大流行となり,これにインスパイアされたモーツァルトやベートーヴェンが「トルコ行進曲」を作曲したというのは有名な話。

わりと多方面にオスマン帝国のメヘテルは影響を及ぼしています。

ジェッデン・デデン以外にもいろいろと面白い楽曲もあったりします。軍楽曲のくせに民謡風な旋律の曲もあります。

関心のある方は,こちらを聴かれると良いでしょう。

トルコの軍楽

民族音楽 / KINGRECORDS.CO.,LTD(K)(M)



たまには,セミの鳴き声のようなズルナの響きを聴きながら,暑い夏を乗り切ってみてはいかがでしょう。
by mmwsp03f | 2010-06-10 23:18 | HP(クラシック)